The Hist


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「何をするべきかは明らかだ、Histの樹はぶっ潰すしかねぇ。」

Modreyn OreynはBlackwood Companyの強さの秘密の源は放置してはいけないと考えている。

「あの樹こそが諸悪の根源。 自然の忌まわしい力だ、破壊しなくちゃならねぇ。

Blackwood Companyに樹液を手に入れる手段がある限り、俺たち全員が危険に晒されてしまう。
もはや奴らは自分達のしている事が分からなくなっちまってるんじゃねぇかな。

Histの樹を破壊する方法を見つけるんだ。
だがRi'Zakarが厳重に警備を行っている事は察しがつく。

奴等の本拠地だ、手荒い歓迎を受ける事になるのは簡単に想像できるがな。」

Ri'Zakar・・・Blackwood Companyのリーダー。

「奴は戦士だ、Tamriel全土を駆け巡った百戦錬磨の傭兵だ。
奴がその樹を大事に保管しているんだろう、奴の持つ鍵を見つけるんだ。」






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LeyawiinのBlackwood Company本部にカチ込んだのはその日の夜。
Oreyn宅から脇目も振らずにここへやって来た。

1階のホールには最初に来た時と同じく3人、自称ナンバー2のJa'Fazirは

「もはや貴様は仲間じゃねぇ! 戦士ギルドのスパイめ! 裏切り者め! 貴様の人生もここまでだ!」

等と悪役の決まり事とさえ言える口上を述べていたがこちらは元よりそのつもり。

・・・というより、最初にここに来た時にそうすれば良かった、という後悔の念がいつまで経ってもやまなかった。
そうしなければHistの樹の秘密を暴く事は出来なかったとはいえ、そのために自分の手を介して幾人かの人の命が失われたのだ。

この後悔と己への怒り、そしてBlackwood Companyに対しての怒りが私の内で渦を巻いていた。



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Ja'Fazirが2階のJeetum-Zeの鍵を持っていたので押し入って奴を打ち倒し、



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Jeetum-Zeの持っていた鍵で3階にあるBlackwood Companyのリーダー、RiZakarの部屋へ踏み込んだ。

奴はOreynの言う『百戦錬磨な傭兵』で、その上割と強力な、「武器破壊」の魔力が込められた魔法剣を振り回して掛かって来た。
私の剣はその魔法剣によって使い物にならなくされてしまったが、所詮本気で怒った私の敵ではなかった・・・私は天下のアリーナ・グランドチャンプ。
どんな相手であろうと、人対人の戦いで負ける訳にはいかないのだ。


そしてこいつだけは絶対に許してはいけない・・・罠にはめられて死んでいった戦士ギルドの仲間たち、何の罪もないはずの大勢の犠牲者達の仇なのだ。

私は対霊武器としての予備装備として持ち歩いていた銀製のメイスを手に、ありったけの力で奴を打ち倒した。



強さとしては全然大した事はなかった・・・奴とて既に第一線の戦士としては機能していなかったのか・・・。
そう・・・あの毒『Histの樹液』によって、奴の精神も既にまともには働いていなかったのかもしれない。

昔のままの本物の戦士として戦う事になっていたなら、逆にもっと苦戦したかも知れないな・・・。

そんな事をふと考えている自分に気づき、ひとり頭を振ってそれを全力で否定した。



今はただ、Histの樹を滅するのみ。

懐を探り、地下室の鍵を手に入れた。





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地下室内には二人のArgonianが労働者兼見張りとして潜んでいたが、そいつらは片手間で蹴散らした。

樹は既にそれ本来の存在としてではなく、奇怪な魔法機械を方々に巡らされた状態で、Histの樹液を製造するためのプラントでしかなかった。

この忌まわしい代物を破壊しなくてはならない。



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私は部屋にあった鉄パイプを手に取り、回っている歯車に無理矢理それを噛み込ませて機械を壊してやった。

機械は炎を吹き上げ、樹は機械もろとも滅んだ。



・・・終わった・・・これで戦士ギルドとBlackwood Companyとの抗争も幕を閉じたのだ。



地下室から出たところに思わぬ残兵に遭遇した。



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戦士ギルドの怠け者、そして裏切り者のMaglirだった。

「貴様ああああっ!! 全てを台無しにしやがって! 

なぜだ!? なぜなんだ!? 俺には仕事があった! 家庭もあった! お前が全てを奪っていったんだ! 

仕返しにお前を殺してやる!!」



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盾をかざして攻撃を防ぎ、必死で説得するものの、Maglirは怒りに我を忘れてもう私の声などはその耳に届く事はなかった。

何とか彼の気を治めようとあらゆる手を尽くしたが彼は興奮しきっていた・・・恐らくHistの樹液を常用した事による結果なのだろう。
最後まで冷静になる事はなかった。



私が一切こちらから攻撃しなくても、私の持つ盾はChorrol城の特別品。
受けた攻撃を数割相手に返す特別な盾だった。



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Maglirは、自分の攻撃によって遂に自分を滅ぼしてしまったのだった。


・・・決して戦いたくなかった相手だったが、今の私には「これも彼の運命」と飲み込むしかなかった。


これが本当の最後だった。
戦士ギルドは犠牲になってしまった仲間の仇を討ち、Cyrodiil全土にとっての危険分子であった、樹液による狂気の集団Blackwood Companyはこうして私の手によって滅んだのだった。



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「よくやった! あの樹がなければBlackwood Companyはただの傭兵の集まりだ。
お前がやってくれた事でCyrodiilは安全になった。」

Oreynは心のそこから喜んでいた。
そして一つの箱から何かを取り出し、それを私に手渡しながらこう言った。

「これを受け取って欲しい。 しっかりとお前の役に立つだろう。」

その品とは、『Helm of Oreyn Bearclaw』。

Blackwood Companyでたまたま目に止まった一冊の本、『Tamrielic Artifacts』。
その内容に思わず魅かれてさっと読んでいたのだが、どうやら過去の時代の英雄Oreyn Bearclawが身に付けていたという兜が、長い年月を経て今、私の手の中にある。

「俺の故郷、Morrowindから来た知らない奴から返してもらったのさ。
誇りを持って使ってくれ。 俺の一族の栄光を取り戻すのに一役買ってくれる事になるかも知れんからな。」

・・・まさかOreyn、あんたって英雄の子孫だったの!?



「さて・・・」

兜の話が一段落してから、彼はこうも言った。

「お前はこの出来事をVilena Dontonに話すんだ。

恐らく彼女なら俺達のやった事を理解してくれるはずだ。
俺達の勤めはこれで果たされたものと信じているよ。

お前は良い戦士だ、兄弟。
お前は俺に誇りを持たせてくれたんだ。」

私はしっかりと頷いて返し、戦士ギルドホールに向かった。




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「何の用? 私の目の届くところに近寄らないように言われていたはずよ。
戦士ギルドの脱退の申し出に来たと考えても良いのかしら?」

彼女の態度は冷たく、そっけなかった。
だが私も負けていられない、Blackwood Companyの状況、そしてその脅威が既になくなった事の一部始終を彼女の話した。

「何ですって・・・?

私は・・・そこまでひどい状況だとは思いもしなかった。 あなたはどうやって全部解決したというの?」

Modryn Oreynの助けがなければ成し得なかった、と正直に話した。

「Oreynとですって!? 彼は追放された身よ! 
今すぐあなたを追放しなくてはなりません!」

・・・ここに話をしに来た時、その覚悟はしてきた。
やってきた事は全て戦士ギルド全体とその仲間達のためだが、その方法は規律違反でしかないのは明白だったからだ。
増して戦士ギルドを追われた身だったOreynとやったと言ったのだから。

・・・しかしVilenaはその場で自分の言葉を否定したのだった。

「だけど・・・責めを負うのはOreynではなく、私の方でしょう。

私は戦士ギルドとメンバー全員を愛しています。 恐らく欠点と言える程に。
彼らを思う気持ちが私の目を曇らせていたのかもしれない。

もしあなたとOreynがいなかったら・・・考えたくもないわ。

あなた方が成し遂げた事、それがギルドの更なる発展にどういう影響を与えるのか話し合わねばならない。」

・・・彼女はVitellusとViranusの母であるだけでなく、その気概は戦士ギルドのメンバー全員の母だった。
彼女の言葉どおり、愛し過ぎるあまりにそれを護ろうと、自分から討って出る決断が出来ずにいたのだろう。
戦死ギルドのメンバーの誰か一人でも傷つき、命を落とすような事にしたくなかったから。



Vilena Dontonは戦士ギルドの長として、公然たる態度で命令を下した。

「行動の責任をと、あなたのChampionのランクを剥奪します。
向こう見ずで無鉄砲な行動は。あなた自身とギルドを危険に晒しました。」

・・・おっしゃるとおりです。 今までありがとうございました。
深々と頭を下げたその時、彼女は更に言葉を続けたのだった。

「ただし。」

驚きの表情で頭を上げた私に彼女はこう言った。

「それらは勇敢で、必要な事だった。
これにより私はあなたを戦士ギルドのMasterへ任命します。 今すぐに。」

えええ!?

「ギルドは私の手から離れました。 その未来はあなたに掛かっています。 真剣に責任を受け止めるのです。 
幸あらん事を、果たすべき義務はまだ多くあるのです。

あなたの最初の任務は副司令官を任命する事。
この役目にはModryn Oreyn以上の適役はいないでしょう。」

あ!

「彼がこの役目を受けたなら、きっとあなたに良く仕えてくれる事でしょう。
彼が持つ、私より多くの知恵と経験を頼りなさい、我が友よ。

幸運を祈ります。」

彼女の微笑みはただ穏やかだった。
今までの険しい表情は、その肩に掛かった責任の重さによるものだったのかも知れない。
重荷が取れた今、彼女は本当の素の彼女に戻ったといえるのではないか・・・そう、VitellusとViranusの母であるだけだった頃のように。



そしてOreynは、戦士ギルドの他の誰よりも戦士ギルドのために働いた。 Blackwood Companyに対する措置についても同様。

戦士ギルドのために働き続けた功労者を一度はクビにしてしまったマスターが在籍する限り、彼が再び戦士ギルドに戻れる道理はない、という事だろう。
Oreynを復帰させるにはVilena自身がマスターでいる訳にはいかない・・・そういう事か。





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そんな訳で、私は再びOreynの家にやって来た。
彼は絵を楽しんでいる真っ最中だった。

「Vilenaと話をしたのか? どんな顔してた?」

私はまず、彼女が私を新ギルドマスターに任命した事を話した。

「は! お前がギルドマスターだと? 驚いたな。 まあ努力の賜物だよ。
だが全てを台無しにしてしまうんじゃないだろうな?

それでお前はその地位を得て何をするつもりなんだ?」

私は一番彼に伝えたかった事を話した。

「あなたを渡しの副官に任命します・・・そしてそれは先代の意思でもある。」

「俺が!? は! ちょうど隠居生活にも慣れてきたところなんだぜ? 絵も上手くなってきただろう? 俺は年寄りだ、俺はもう終わったんだ。

・・・と思ったが、誰かがお前を監視しなければならん。
お前がギルドを堕落させない様に気をつけねぇとな。

やるぜ、ギルドマスター。 ギルドに命令を与えたい時は俺のところへ寄っていきな。
しっかり奴らを働かせてやるよ。」


・・・Oreynは私が一つ所に留まっていられない事を知っている。
そして私の好奇心もまだまだ止む事はない。

実質は彼がマスターで、私はお飾り。 それでいい。



かくして、私とOreynの戦いは収束し、私の戦士ギルドでの仕事も一息ついた。
Oreynは満足げに絵筆を置いた。

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The Hist -終わり-

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