Infiltration


私はBlackwood Companyへの潜入調査のため、奴等の本拠地のあるLeyawiinにやってきた。

玄関ホールにいた Khajiitが媚びた様な物言いで近寄ってきた。


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「司令官のJa'Fazirです、お客様。 いつでもサービスを提供させて頂きます。
私はBlackwood Companyでは2番目の地位です。」

「・・・入会希望者なんだけど。」

そう告げると態度が一変した。

「入会したいのか? ふむ・・・、別のギルドを脱会したネズミか。 いいだろう。
Jeetum-Zeに話をしな。 奴がここでの新入りの採用を仕切っている。」




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こいつがそのJeetum-Ze。

「Blackwood Companyに入会希望か? ふむ・・・だがお前の事は聞いてるぜ。
戦士ギルドだろ? 最近奴らに関わる仕事をたくさんやったぜ。
俺達のところで入会したいとはどういう事だ?」

「ギルドの仕事がなくなったからよ。」

「仕事がない? このCyrodiilにはやる事がたくさんあるぜ!
Blackwood Companyには十分過ぎるほどな。

あまり強そうに見えんな。 少し経験不足じゃないのか?
だが俺たちなら楽に仕事を見つけてやれるだろうな。
入会しても良いぜ、今のうちだ。

あんまりにもやりたそうだから訓練所へ連れてってやるよ。
ゾクゾクするような任務が待ってるぜ。」

ゾクゾクするような任務・・・か。



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彼は私についてくるように促し、私をある地下室へと導いた。



 

 

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地下室には既に新兵と思しき者が3人ほどおり、Jeetum-Zeは私達に向かって新入りへの初任務を与えた。

「お前たち4人に任務だ。 Water's Edgeにいるゴブリン共を我々で始末する契約を受けた。」

Water's Edge・・・確か、以前戦士ギルドの仕事でBiene Amelionと言う娘さんからの仕事をした集落だ。
賭け事好きなお父さんの借金を背負って困っていた娘さんのために、彼女のおじいさんの残していた儀式用の剣と鎧を彼女の一族のお墓から持ち帰ってあげた・・・。



Jeetum-Zeの話は続く。

「どうやら奴らは地元住民を悩ませているようなのだ。
もっともお前達4人にとっては何ら問題にはならんだろう。

他の3人はもう準備が整っているはずだ、だが知っての通り俺達は新入りを抱えている。」

と私の方へ振り返り

「新入り、お前に一言言っておきたい事がある。」

と、私を近くに呼んだ。


「この任務には気をつけろ。 時折新入りどもは混乱する。
俺達のやり方に慣れてないからな。」

と、一本の小瓶を手渡された。

「これを持っていけ。 戦闘での能力を向上させてくれるぞ。
俺たちもたまに使うんだ。 良いものだ、使えるぜ。」

「・・・これは何?」

「これか? Argoniaの沼地からの贈り物だ。
Histの樹液だ。 俺の故郷からの贈り物さ。
Histは俺達を包み込んでくれる。 とても寛大な存在だ。」

Histの樹・・・聞いた事がある。

何でもこの世界が創造された頃の事、まだ始原の人間やエルフもこの地に住んでいなかったと言われる頃の事。
Argonianの故郷Black Marshにあったと言われている、ある木々がこの大陸の始原の生命の大元だという話・・・それがHistの樹。

今でも存在するなんて話は聞いた事がないのだが。

「樹液をどこからか密輸でもしたの?」

「ふざけるなよ、俺達はHistの樹そのものを持ち帰ったんだ。
Company全体に恩恵を与えてくれる、1本の立派なHistをな。

頭の切れる魔術師がそれを実現したんだ。 魔法と鉄の道具だ。 おっと、これはまだ秘密だったな。
その恵みを飲んで新しい兄弟と共に行くんだ。」

・・・Jeetum-Zeも、一緒に任務に当たる事になる他の3人も、早く飲め、と私をせかす。
どんな効果があるのか一切不明だが、これが奴等の力の源である事は間違いなさそうだ。
効果についても尋常なものでない事に間違いはないのだろうが、ここは飲むしかない。

私はその小瓶のアンプルを一気に飲み干した・・・ううう・・・何だか妙な感じが・・・。



 

・・・きがつくとわたしはWater's Edgeにいた・・・。


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ああ・・・ごぶりんがおおあばれしてる・・・ほかのさんにんがごぶりんをたおしてる・・・。
そういえばBieneはどこかなぁ・・・。

ほかのさんにんがそとのごぶりんをぜんぶかたづけたみたいだ。
みんなさけんでる。

「まだゴブリンどもがいるぞ。 気配を感じないのか? 奴らはまだここにいる、家を調べろ!」


・・・いえのなかをしらべるのはしんいりのしごととでもいいたいのだろうか、かれらはそとで、おいだされてくるはずのごぶりんをまちぶせしようというかまえのようだった。

しかたないからわたしがいくよぉ・・・いちばんてぢかのいえのとびらをあけると


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ごぶりんがいたぁ・・・でも・・・なんかへんだなぁ・・・さいきんじゃめずらしいまるごしのごぶりんだぁ・・・しかもおそってもこないぃ・・・。

おそってもこないまるごしごぶりんをただこっちからきりつけるのもなんだかあれだしぃ・・・わにくんをよんでみたけどわにくんもじっとしてる・・・あれぇ・・・?

しかたがないからげんこつでこらしめてやったぁ・・・。


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べつのいえではごぶりんどうしがけんかしてたぁ・・・かたほうがたおれるまでけんぶつして、のこったほうにげんこつをくれてやったぁ・・・。






 

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目覚めた時、私はChorrolのOreynの家にいたのだった。
Oreynは心配そうに私を見ていた。

「よかった、やっと目覚めたようだな。 お前の事を心配してたんだぞ。」

あれ・・・? 私はいったい・・・。

「聞きたいのはこっちの方だ。

お前はLeyawiinの通りで気を失っていたのを発見されたんだ。
ギルドの中間達がお前を見つけて俺のところへ連れてきたんだ。 俺たちと同じ様な考えを持ってる奴らがいるのが分かって良かったよ。

さて・・・いったい何があったんだ?」

私は自分で覚えている事・・・Blackwood Companyへ入会して、任務を一つこなしたところ・・・Water's Edgeでゴブリン退治をしたところまでの事をOreynに話して聞かせた。
そう・・・Histの樹液!

「奴らがHistの樹液を使ってるって? Cyrodiilに気を持ってきたと言っていたのか? 驚いたな。
あの樹液が毒を寄せ付けないArgonian以外にどう作用するのか想像できねぇよ。
お前がそんな状態で見つかっても別に驚くことじゃねぇな。 奴等の体に強靭さが増したのが分かる様な気がするぜ。

そうなるとWater's Edgeが心配だ。 お前にはそこを見て来て貰いたい。
Companyが住人を追い出していないか確認するんだ。 慎重に行けよ。」



・・・ひどく胸騒ぎがする。 まさか私は・・・。



 

馬を飛ばしに飛ばしてWater's Edgeに着いたのは真夜中だった・・・ゴブリンを退治したはずの通りには



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村人と羊の死体ばかりが横たわっていたのだった。



頭をハンマーで殴られたような衝撃を感じつつ、たった一人目の前に立っている男性に目をやった。



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足元には見覚えのある女性・・・Biene Emelionが横たわっていた。

「かわいそうなBiene。 かわいそうな、愛しいBiene。 やったのはどんな怪物なんだ?
こんな事がどうして起こるんだ?」


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彼はMarcel Amelion・・・いなくなったはずのBieneの父だった。

「何が・・・起こったの?」
私は震える声で彼に尋ねた。

「俺には分からない・・・皆倒れているんだ。 全員だよ。 私の可愛いBieneもだ。

あんたは・・・娘を助けてくれた人だね?
娘が私の借金を返すのを手伝ってくれたんだろ? あんたの話は聞いていたよ。
娘は決して誰も傷つけはしない。 誰にこんな事が出来るんだ?
どんな怪物がやったというのだ?

これはゴブリンどもの仕業じゃない。 奴らはただの盗人だ。
だがなぜだ? 俺達は何も持っていないというのに。

・・・帰ってくれないか。」



私はとにかく倒れている人達の怪我を調べ、治癒魔法の知る限りの治癒魔法を、魔力が途切れるまで注ぎ込んだ・・・比較的致命傷となった怪我の浅いもの数名、そしてBieneの蘇生には成功したのだが、その半数ほどはそれでも手遅れだった。

命の助かった村人達も、普通に起き上がれるようになるには数日を要するだろう。

Histの樹液の効果で強い幻覚を見たに違いないとはいえ、私のした事は明らかだった・・・私はBlackwood Companyのメンバーたちと、何の罪もないWater’s Edgeの村人を襲ったに違いないのだった。



 

 


私は打ちひしがれた精神で、自己嫌悪と憎悪の入り混じった感情でのままOreynのところへ戻った。


wg018-12.jpg

 

「まさか、村全体が・・・。

さぞ自己嫌悪に陥った事だろう、お前には悪い事をした。
あれはHistの樹液がやらせたんだ、お前のせいじゃあない。」

しかし私も村襲撃に加わっていた事は紛れもない事実に違いない・・・。

「今、俺達はあの組織が引き起こす脅威を知った。 恐らく奴ら自身が理解している以上にだ。
今こそ俺達は断固たる行動を取らねばならんのだ。」



Infiltration -終わり-

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