A Brotherhood Betrayed(前編)


戦士ギルドの仕事でBrumaに滞在中の事。
Olav's Tap and Tackという宿屋に入った時に、街にやってきたヴァンパイアハンターの話を耳にした。

「今朝Olavの店で、Raynil Dralasという名のDummer(DarkElf)と知り合いました。
しばらく話をした後、彼は本当のヴァンパイアハンターである事を教えてくれました。」

Raynil Dralas?

「ええ、ヴァンパイアハンターです。 私が知る限り、彼がここBrumaに姿を見せたのはつい最近の事です。 
たちどころに紛れ込んでいた吸血鬼を見つけ出しました。
どうやらBradon Lirrianがその一人だったみたいで、Raynilは彼を殺しました。

でも私にはBradonがどうしても吸血鬼には見えなかったのです。
とても感じの良い人のようでしたよ。」

む、冤罪?

何を隠そう、私も対吸血鬼団体『Order of the Virtuous Blood』の一人、ヴァンパイアハンターなのだが、Raynil Dralasと言う名は初耳だ。
・・・まあヴァンパイアハンターを名乗る団体は決してそれ一つじゃないだろうし、私の知らないヴァンパイアハンターがいても不思議ではないんだろうが。



sq022-01.jpg

どうにも気になって仕方ないので、ともかくヴァンパイアハンターに殺されたと言う吸血鬼の家に向かってみた。





sq022-02.jpg

中ではBrumaの衛兵達が現場検証の真っ最中だった。
私が入って来たのを見つけるや否や、責任者らしい男が慌てて私の元へやってきた。

「ここから立ち去ってください。 ここは犯行現場なのです。
我々と、Raynil Dralas以外は立ち入り禁止です。

彼はCarius Runelliusと言い、この事件の担当している衛兵の長の様だ。
私は彼にRaynil Dralasと言う男について尋ねてみた。

「この事件については既に解決済みで、後は細部を解明するのみです。

もっとお話したいところですが、率直に言うとあなたの事は存じ上げませんし、こういった情報をお話してしまって良いものかどうか判断し兼ねますので。」

んー・・・困った時の『袖の下』作戦。 ちゃりーん。

「んー何が起きたのかくらいならお話しても特に害はないでしょう。
どうせBruma中にすぐ広まってしまう話ですし。

Bradon Lirrianがヴァンパイアである事が分かったのです・・・だった、と言うべきでしょうか。
Raynil Dralasの助力がなければ真相を解明する事は出来なかったでしょうね。」

と、この事件の詳細について話してくれた。

「先週、城壁の外にある墓場で隠されていた死体が二つ発見されました。
それらの死体の首には穴が開けられていました。

被害者はこの街の乞食でした。 恐らくヴァンパイアは、彼らがいなくなっても気付く者はいまい、と思ったのでしょう。

幸い、Raynilがこの街に来ていました。 彼はヴァンパイアハンターだと名乗ったので、Raynilに協力を依頼したのです。
彼はヴァンパイアの痕跡を追ってこの家に辿り着きました。
昼頃に家へ踏み込んだところ、中でBradonが寝ていたので、退治出来たという訳です。

幸い、Bradonの奥さんは不在でした。
可哀想に、自分の夫が感染していた事さえ知らなかったようです。

我々は捜査を続け、Bradonが昼間に外出しているところを見た者が誰もいない事実を突き止めました。
彼の目撃情報は夜に限られていたのです。」

ふむ・・・この話を聞く限り、状況的には筋は通ってる。

「私が知る限り、Bradon Lirrianは善良な市民だった。 こんな事になるなんて思いもしなかった。
しかしヴァンパイアは人を欺く術に長けているので、納得は出来る。

Raynil Dralasについては大した物ですよ。
たった一日でヴァンパイアの居所を突き止めてしまうのですから。
飯の種にしているだけの事はありますね。」


・・・この街の衛兵らは、“自称”ヴァンパイアハンターのRaynil Dralasに全幅の信頼を置いているようだ。



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屋敷内の奥にはBradonの奥さん、Erline Lirrianがうなだれていた。
私がそちらへ近づくと、彼女は大きな声で懇願した。

「お願い・・・お願いです、助けてください。
夫はバンパイアなどではありません! 言い掛かりです!
誰も私の話など聞いてくれません!」

かなり動揺している・・・無理もない、突然に旦那さんが吸血鬼として殺されてしまったのだから。

「どうか落ち着いてください、あなたの助けになりたいのです。」

「・・・ご容赦ください。 夫を心から愛していたのに、こんな形で失ってしまうなんて。
お力になって頂けるのならありがたいのですが・・・何もかもが急過ぎて。」

改めて椅子に掛ける様Erlineに促し、彼女は素直にそうした。
私は、何が起きたのかを彼女に尋ねた。

「数時間前に帰宅したばかりなのですが・・・家のドアが開いていて、Bradonが死んでいたのです。
離れたところにDummerが立っていました。

私は悲鳴を上げて通りに駆け出しました。
数人の近くにいた衛兵が私の声を聞きつけ、すぐに飛んで来ました。

そのDummerはRaynil Dralasと名乗っているのが聞こえました。
彼はヴァンパイアハンターで、Bratonは標的だったと言っていました。

衛兵達はRaynilの事を知っていたらしく、我が家を捜査して地下室で乞食の遺体を見つけました。

衛兵Cariusさんを呼びに行きました・・・このBrumaで犯罪捜査を担当している方です。
『Bradonはヴァンパイヤだった』とRaynilが言うと、Cariusさんはすぐに納得したようでした。」

・・・状況からするとBradon氏は圧倒的に不利だ。
この家の地下室から吸血鬼にやられたとみられる遺体が出た事は致命的とさえ言える。

「明らかに仕組まれた物です! 夫が自分の家に死体を隠したりするもんですか!
全く馬鹿げています。

それに、衛兵は『Bradonが日中に外出しているのを誰も見た事がないのが動かぬ証拠だ』と言うのです・・・もちろんそれは事実ですけど。
夫は夜に仕事をしていましたので、日中は寝る必要があります。
なぜそれがヴァンパイアであることになってしまうのでしょうか?」

確かにヴァンパイアは日光を嫌う・・・先の帝都のヴァンパイア騒動でもそうだったのだが。
だが「日中おもてに出ない」事だけでその人をヴァンパイアだと決め付けるのはいささか乱暴だとは思う。

「Raynilのせいですわ。 彼は信用できません。
一番腹立たしいのは、以前彼とあった事があるということです。

もちろん彼はここには着た事はないと言っています。


・・・絶望的なのは分かっていますが、でも自分は正しいと思っています。」



衛兵らの言うとおり、地下室には吸血鬼の被害者と思われる遺体があった。
さっきも感じた様に、この状況からするとBradon Lirrianにとってはかなり不利だ。

・・・ここはまず、ヴァンパイアハンターのRaynil Dralasに会い、事情を確かめるべきだろう。



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まずは最初にこの事件を知る事になった宿屋、Olav's Tap and Tackに立ち寄り、店主のOlavに改めて話を聞いてみた。

「こんな事を言うのもなんだが、衛兵達は間違ってるのかも知れねぇ。
Bradonがヴァンパイアだったなんてとても想像できねぇぜ。
あいつが日中に出歩いてるのを確かに見た事があるんだ。
つい最近その病気にかかったってんなら話は別だが・・・あいつらは間違ってる気がする。

Raynilが彼を殺したって聞いて、どう考えれば良いのか分からなかったよ。
でもあんたが来てから、そう疑い始めたんだ。」

ふむ・・・ならRaynilの判断が間違っていた可能性も十分にある訳か。
で、そのRaynil Dralasは今どこに?

「それを教える訳には行かないよ・・・見知らぬ人にはさ。」

・・・初めて訪れる者に立ち入った事は話せない、と言う事か。
ここは何時もの如く、『袖の下』作戦。



「Raynilは階段を上って突き当たりの部屋に泊まっているよ。 これが部屋の鍵さ。」

なるほど、この宿に泊まっていたのか。
確かに、客のプライバシーは他人には話しにくいな。

Olavは付け加えて言った。

「BradonとErlineは感じの良い奴らだった。 お似合いの夫婦だったよ。
真相を突き止めてやってくれよ、俺もあいつがヴァンパイアだったなんて信じちゃあいねぇからな。」



私はOlavから預かった、Raynil Dralasの宿泊していた部屋を捜索した。


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すると、タンスの奥に1冊の本が落ちているのに気がついた。

Gelebourneという人物が書き残した手記で、それによると、Raynilは冒険者の一行のメンバーであり、彼らがとあるAyleidの遺跡から何らかのアーティファクトを発見したことが記されてあった。

それは更なる研究が進むまで洞窟に隠す事に全員が同意し、おのおのがそれをしまい込んだ箱の鍵を持つ事としたようだ。

その冒険者のメンバーしてRaynil、吸血鬼疑惑で彼に殺されたBradon、そしてGelebourneという名の者が書き記されてある。



・・・この事件は吸血鬼とは何ら無関係である可能性が出てきた。
この事件に関わっていないGelebourneに事情を確認する必要がある。
彼はいったい今どこにいるんだろうか?



Raynilの部屋ではそれ以上の目新しい発見はなく、私は宿屋の主Olavのところへ戻った。

私はさっき発見したRaynilの手記の中に記されてあった、Gelebourneという人物を探す必要がある事を彼に告げたとき、Olavは意外な反応を見せた。

「Gelebourne?あんたがその名前を口にするなんて妙なこった。
Raynilが言うには、奴が最後に仕留めたヴァンパイアがそんな名前だと言ってたぞ。」

何!?

「ああ、そうとも。 Skingradのどこかだったと思うけど。
あいつはGelebourneを追跡して殺したってよ。

どうもその話で衛兵達はすっかり奴の事を信用しちまった。
Skingradの警備隊から、Raynilと奴の大偉業とやらについて聞いてたって話だな。」



・・・ほぼ間違いないだろう、これら二つの殺人事件は、ヴァンパイア狩りとは全く無関係だ。
RaynilはBradon、Gelebourneと共に発見し、3人で共同して一時隠しておく事にしたアーティファクトを我が物にしようと計画し、二人を殺害したのだ。

この事実をBrumaの犯罪捜査担当のCarius Runelliusに話すべきだろう。



A Brotherhood Betrayed (前編)-終わり-

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