The Arena (後編)


黄色チームのChampion含む、3人の相手を朋友『ポークチョップ』と共に撃破した私は、新Championの座を獲得する事となった。

「我が友よ。 偉大なる名誉と共に、お前はChampionのランクへと昇格した。
お前は成し遂げた、数々の素晴らしい成果を!」

『ウジ虫』がとうとう『我が友』になった瞬間でもあった。

アリーナで更に上を目指すなら、残るはGrand Champion『Grey Prince』を倒すのみ。



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「あんたがGray Princeに挑戦したいなら、それはあんたの権利だ。
後になって警告しなかったとは言って欲しくないけどね!」

彼女の名はYsabel Andronicus。
アリーナのBattle Matronという職をこなしている。
Battle Matronとは、Grand Championのトレーニングと管理を行う、名誉ある職務・・・なんだそうだ。

もはやOwynの世話するChampionまでの試合は全て消化し、Grand ChampionとのカードについてはYsabelの手配となる。

雑談の中で彼女は「Owynが一度私にプロポーズした事があるといったら信じるかい?」とか何とか・・・そこまで聞いてないってのに。 こちらはGrey Princeと戦う事に賭けてるんだから。

OK、良く聞きな。と彼女はようやく、Grand Champion戦における特別ルールの説明を始めた。
この戦いのみ、今までのアリーナでの試合とは若干ルールが違うのだ。

「Grand Championとの試合では、どの様な失格行為も存在しない。
あんたが好むどんな防具でも使う事が出来る。
Agronakは多分、エンチャントされた『勇猛の服』を着るだろう。 彼がGrand Champになった時に手に入れたものだ。

承知のとおり、アリーナの対戦では倒した相手の持ち物を奪う事は厳禁されているが、この試合だけは例外だ。
もしあんたがGrey Princeを倒したら、あんたは彼の『勇猛の服』を奪い、私に渡さなければならない。
そしてあんたはあんた自身の『勇猛の服』を手に入れるだろう。」



私は一度出直し、Grand Champ戦での装備を用意する事にした。
いつも使い慣れた防具、そして武器は・・・Chorrolで二人の少年をゴブリンから守った時にその父親から譲り受けた氷の剣『Chillrend』。

今までいろんな敵から様々な魔法武器を手に入れて来たが、魔力を補充する術を得ていない私は今までそれらを敢えて使わないで来た。
今回が初めての使用となる・・・その威力は私にとって未知数だった。




日も暮れ、この日のラスト・バトルの時間となった。

10年ぶりのGrand Champion戦が始まろうとしていた。

sq021-181.jpg

この試合のカードが実際に組まれる直前、私は『Grey Prince』Agronakと少しばかり話をした。

「あなたに挑戦する。」

「予想通りの答えだ。 あんたの挑戦を受けよう。
準備が整ったらYsabelに知らせてくれ。 俺も闘技場へ向かうとしよう。

Shinjiよ、我らとともにあれ!」



試合の用意が出来た事をYsabelに告げた。

「もう戦う用意は出来た様だね?

戦いに赴く前に、あんたは自分の名前を選ばなきゃならない。 分かってるだろ?
アリーナでのファイティングネームだよ!

記憶に残る試合になるだろうね。 Cyrodiilの人間は忘れやしないだろう。
もしあんたがみっともない敗北を喫してもね!。」

「・・・ドラゴンハート。」
竜の魂を持つ戦士。 これでいこう。

「ドラゴンハート? あんたに相応しい名だね。
良いだろう、あんたがただの狂人か、それとも逆の意味で他人とかけ離れてるかが明らかになる時が来たよ。

Grey Princeは我々がこうしている間に、もうアリーナへ向かってるはず。
Champion、あんたも続いて。 そして彼の元へいくんだ。
神々があなたの魂に慈悲を恵まれますように。」




地面が揺れるような大歓声の中、私とGrey Princeとの戦いの幕は切って落とされた。



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『Grey Prince』Agronakは風の様に突進し、鬼神の如く剣を振った。
付け入る隙がない。 今までのどの戦いよりも間違いなく苦しかった。

だが今までのアリーナ戦と違ったのは、普段身に付けてる防具、そして冷気属性の魔法付与がなされた魔法剣だった。
これは如何に攻撃を防ごうと、その魔法ダメージは確実に相手に与える事が出来るもの。
冷気対策がされていないならいくら防御しても、その魔法ダメージは確実に相手に乗るのだ。



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「えええええええええいっ!!」



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何合剣を合わせたかも分からなくなる程の激闘の末、私は遂に『Grey Prince』を破ったのだった。

最後には念を入れてかぶっていたDwaven Helmも、彼の強力な撃ち込みを何合と受けて割れてしまい、お互いに慢心創痍だった。



試合開始の時以上の大歓声で揺れるアリーナの真ん中で、私はそのルールに従い、Agronakが身に付けていた戦闘着『勇猛の服』を取り、控え室で待つYsabelに引き渡した。

「Shinjiへの愛にかけて! あんたは成し遂げた! Grey Princeを負かすとは・・・・信じられない!
これであんたこそが、アリーナに現れた最高の戦士となった!

Grey Princeは偉大なオークだった・・・彼を負かしたのはあんただけだ。
彼の魂に安らぎがあらん事を・・・。



かくして、『Dragon Heart』はアリーナにおける新Grand Champとなった。
Ysabelはその後のGrand Champの職務として、アリーナで怪物相手に立ち回る『ショー』をやれ、と言ったが、それについては一切興味が湧かなかったので断った。

自分を試し、磨き、『強くなりたい』と願うその目的は、このアリーナで出来る事は全て果たしたと感じた。
いずれ勇猛果敢な、Grand Champの座を狙う者が勝ち上がってくるまで、アリーナからは遠ざかるつもりだ。



あの時に願った思いはこれで叶ったとは決して思えない。
なぜだかよく分からないが、私の望む『最強』の形はこれで完成した訳じゃないということなのだろうか。

私は前Grand Champの冥福を祈りつつ、自分が勝ち取った『勇猛の服』を手にアリーナを後にした。



The Arena (後編)-終わり-

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