The Arena (中編)


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戦士ギルドの仕事が途切れてしまった今、自由になる時間だけが手元に残った。
私はここぞとばかりに、我が命を張込む事を代金として自分試しと自分磨きを兼ねた鍛錬の場、アリーナで戦いを繰り返していた。





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魔法付与された武器を使うもの、叩き上げの純粋な戦士、魔術師等、果ては元Bladesの兵士など、相手は多種多彩だった。



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中には釈放を掛けてアリーナに来た、3人の囚人と一度に戦った事もあった。



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中には相当苦戦した戦いもあった。 もうダメかと思った戦いもあった。

とりわけ魔術師相手の試合は厳しかった。
私は魔力に対する抵抗力の高いBreton人なのだが、その生まれの星の元、そのアドバンテージは全くなくなっている。
が、こればかりは自分の生まれを悔やんでも仕方ない。
魔術師の類は大概距離をとって強力な遠距離破壊魔法を撃ち込んで来る。
一撃によるダメージは戦士らのそれとは比べ物にはならないくらい大きく、防戦一方になるとそのまま一気に削り込まれる事も珍しくなかった。

しかし逆に彼らは逃げ足こそ速いものの走行は薄く直接の攻撃力は微々たる物、一度追い込んで猛ラッシュで追い込めばワンサイドゲームのまま完勝、というパターンもあり得、まさにギャンブルだった。



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私は何とか勝ち進む事が出来、そして勝ち続ける度にアリーナでの階級も一つ一つ高みに上っていった。



アリーナのRed Roomの世話役Owynは、最初は人をゴミ溜めのゴミの様な扱いをしていたが、私が勝ち進みランクを上げていく毎にその態度を軟化させ、逆に馴れ馴れしく、友達面する様になっていった。
アリーナに来たての頃はどの対戦者よりも真っ先にその首を飛ばしてやろうかと思う程に憎らしかったりしたのだが。

・・・とは言うものの、ただの女がアリーナで勝ち続けるその光景は、ここアリーナで何百人という剣闘士を見送り続けて来た者から見るとかなり異端児と写ったに違いない。
ある意味、私を侮蔑したのは当然と言える事だったのかもしれない。



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彼は現グランド・チャンピオンのArgonak gro-Malog。 またの名をGrey Prince。
既に10年間そのタイトルを維持しているそうだ。
だがそれは、勝ち続けてきたと言う訳ではなく、あまりの強さに誰も挑戦しなかったといのが真相らしい。

噂によると彼はHalf-Orc・・・オークと何らかの種族の混血と言うものもいたのだが、その真相は不明、と言うより彼自身もそれを詳しく知らないらしい。
だがその雰囲気は確かに今までに出会ってきた純粋なオークのそれとは異なっていた。

彼と談笑した折「調べて欲しい」と頼まれた事もあったが、私の目標はGrey Princeを倒す事、と丁寧にお断りさせて頂いた。



Grey Princeと戦うためには、そのための挑戦権を得る必要がある。
その方法はたった一つ、どんどん戦っては勝ち抜き、Championの称号を手に入れるのみ、であった。

我が敵陣営・・・Yellow RoomのChampionはOwynのすぐそばで剣を振るう大女だった。
私がHeroランク、すなわちChampionへの挑戦権を得た時に初めて口をきいた。



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「Heroになったのね。 Championに昇格したいと思ってるわけね? 青二才さん。
あんたは私達のランクにあがる事はない。
私達は選ばれた戦士なのよ。

知っておきなさい、本当にChampionを目指しているならあんたは私を倒さなければならない。
アリーナであんたと会う時、あんたに待ってる死のみよ。」

私達・・・? 
次の対戦のために話し掛けたOwynの言葉で、その疑問は消え去った。

「お前は剣士、射手、そして魔術師と対峙する。
後者2名はコンバタント、剣士はそこにいるChampionだ。

この3人に勝てばお前にはChampionの称号を与えられる。
お前にならやれる。 誰が一番強いのか、観客にはっきりと見せてやれ!」

嫌だ、とは言わないが・・・Champion相手なら一対一でも大概の強さだろうに三対一とは。
かなり厳しい戦いになるに違いない。
というか、もう一対一の勝負じゃ有名になり過ぎて賭けが成立しなくなったか。

Owynは、覚悟を決めてアリーナへ向かおうとした私を再度呼び止めてこういった。

「おっと待て、まだだ。
お前を助けるために猪のポークチョップをアリーナに送っておいた。 役に立つかも知れんぞ。
では幸運を!」

ポークチョップ? 差し入れでも届けてくれたのかと思いきや、



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彼がポ-クチョップ。 なんと本物の猪だった。
彼が私の援軍となってくれたのだった。




ゲートが開いて、私のChampionランクを賭けての戦闘開始。

この面子だと、うっとうしいのは魔術師一人。
ランク度外視でとにかく魔術師一点に狙いを絞り、試合開始の合図と共に猛突進。
すると、まるで打ち合わせしていたかの様にポ-クチョップはChampionの女の元へすっ飛んでいった。

魔術師はやはり逃げ足が速く、なかなか止めを刺しづらい。
するとポークチョップが突進して来て魔術師を攻撃し始めた・・・ってもしかして!?

そう、ポークチョップはChampionから射手に狙いを変更し、速攻で倒して来たみたいなのだ。
役に立つどころじゃなく、強いよ!

今度は魔術師を猪に預け、自分はChampionの女剣士と立ち向かう。



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さすがにこの女、現Championだけあってかなり強い。
だがこちらは双子兄弟絡みでChorrolの城から賜った盾持ち。
攻撃を弾けばそのダメージが幾分相手に反射する強力盾。
いかな猛者でも回復する術を持ち合わせていなければ後は時間の問題なのだが、そこは防戦一方で勝っても意味がない。
こちらから果敢に攻め倒す。

しばらくするとポークチョップもChampion戦に合流・・・魔術師まで倒して来た様だ。
こうなれば相手はもう終わり・・・Grey Princeへの挑戦権、頂きます!




かくして、私はChampionを含む3人を倒す事に成功し、新Championを継承する事となった。
ポークチョップにはいくら感謝しても仕切れないくらいの功労だった。



The Arena (中編) -終わり-

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