Azani Blackheart


「ちょっとおめぇに頼みたい事があるんだが、ここじゃちょっと話せねぇ。
日が落ちてから俺の家に来てくれないか。」

Chorrolの戦士ギルドで話をした『鬼軍曹』Oreynは、私に自宅へ来い、と言った。
戦士ギルドの建屋内で話せない話とはいったい何だろう?

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「よし、来たか。 俺たちにはやるべき仕事があるんだ。

義務、これが全てだ、そうだろ?
Blackwood Companyが俺達を破滅させようとしている。
奴らは俺達の契約を盗み、部下まで奪っている。
反撃こそが俺達の義務だ。 奴らに対抗する必要がある、それも今すぐにな。」

戦士ギルド内で話せないというのはそういう事か。
依頼者のいない仕事、そして悪意ある敵に対しての反撃。

「奴らの事を調べているんだが、幾つか不穏な事を聞いたんだ。
知ってのとおり奴らは俺たちにとって危険な存在だ、手段も選ばない。」

なぜ戦士ギルド側はやつらがそこまで助長するところまで放置したのだろう?

「VilenaがBlackhertの任務以来、躊躇してるんだ。 俺たちが殺される事を心配してな。
だが俺達の首はじわじわと絞められていってるようなもんだ。

あの任務が始まりだった・・・Vitellusが殺された時の事だ。
俺達は魔術師のArgothから契約を請け負い、Azani Blackhertからアーティファクトを取り戻す事になったんだ。

俺は20名の部下と共にそこへ向かった。
だが俺と5人だけが逃げ延びたんだ・・・Vitellusは撤退する俺達のしんがりを務めて死んだんだ。」

もしかしてそれにBlackwood Companyが絡んでた・・・?

「嗅ぎ回ってみたさ。 どうやら奴らは俺達の契約した仕事を代わりにこなした様だった。
俺達は20人の優秀な部下と共にそこへ行ったんだぜ?
俺は奴らがあの仕事を片付けられたとは思えねぇんだ。

Argoth・・・奴は死に、アーティファクトは消えた。 はめられたみたいだな。
恐らく奴らはBlackheartと手を組んだんだ。
俺が調べ上げてやる。

これから俺たちで実際に何が起こったのかを調べ。それを世間に知らしめるんだ。
世間にBlackwood Companyの招待を晒してやりてぇんだ。

お前に一緒にやろうとは命令できん。 危険だしVilenaも知らないだろうしな。
選択はお前に任せる。」

・・・かの鬼軍曹Oreynでもこういうしおらしいこと言うんだ。 変なところで感心してしまった。
だけど非公式だろうと何だろうと、これをやらないと戦士ギルドの明日はないって事になるんでしょ?
なら、やるしかない。

そうか、と満面の笑みを浮かべたOreynは一つ手を叩いた。

「準備が出来次第出発するぞ。
ArpeniaでBlackheartの根城を探りたいんだ。
Leyawiinのギルドホールで落ち合おう。 そこから向かう事にする。」



二日後。

我々は予定通りLeyawiinで合流し、Azani Blackheartが潜伏しているであろう遺跡『Arpenia』に向かった。

だが・・・



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そこには何もなかった。
Azani Blackheartがだけでなく、そこで戦ったはずのBlackwood Companyとの戦闘の痕跡すらも。
あるのは多数の凶暴な罠とそこに巣食っていたネズミだけだった。

・・・ここで見た罠は、今まであまり見た事もない様な、かなり凶悪な物だった。
罠の仕掛けられた床に乗ると床ごと天井へせりあがり、天井に仕掛けられた剣山にグサリ。
Oreyn達戦士ギルドの手練が20人も掛かってなお、背走せざるを得なかった理由は恐らくこれか。

古の時代、これらの遺跡が建造された時、侵入者を寄せ付けまいと仕掛けられた物なのだろうが、Azani Blackheartはそれを自分達の防衛施設として利用していたのだろう。
罠で慌てふためいた戦士ギルドの生き残りを容易く追撃出来る事も想像に難くない。



Oreynは歯噛みした。

「何もねぇ! やはりそうか!
Azani Blackheartはここにはいねぇ。 生死に関わらずな。 ちくしょう!
戦闘なんかなかったんだ。 AzaniがBlackwood Companyと取引したに違いねぇ。
奴らは恐らく買収されたんだ。

奴らはArgothにブツを渡して金を受け取った。
その後でArgothの居場所をAzaniに教えたんだ。
Blackheartにとっちゃブツを取り戻し、金を受け取るなんてたやすい事だ。」

・・・ではどうする? 次の手はある?

「Blackheartを見つけ、ブツを手に入れる。
俺達は仕事を片付け、ここで何がおきたかをCyrodiil中に知らしめるんだ。」

それは分かってる。
でもここが空振りだった以上、次のあてはあるの?

「Blackheartはこの辺のAyliedの遺跡を気に入ってる。
ここから北東にもう一つ遺跡がある。 Atatarだ。
奴は恐らくそっちへ拠点を移したんだ。 付いて来い。」

そう言ってまたどんどん歩き始めた。



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ここがAtatar。
途中この辺一帯に住み着いてるゴブリンを蹂躙しつつここまでやってきた。



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内部はやはりAylied遺跡名物の仕掛け罠だらけ。
だがさっきのArpeniaと違うのは、振り子ギロチンを無事通り抜けた先にBlackheartの一味の見張りがいた事。



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いるわいるわ、広い遺跡のそこかしこに見張りが潜んでいた。



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堂々と広間を進むルートを辿るとギロチン橋に遭遇、ギロチンは永い年月を経てすっかり錆付いてはいたがその威力は健在で、その下の石橋を砕いてしまうほどだった。

道を失ってしまった我々は仕方なく広間の下へ降り、脇道から奥を・・・恐らくAzani Blackheart本人が潜伏しているであろう先を目指した。



遺跡の最深部、悪党の根城とは程に優雅に備品を取り揃えた部屋に奴はいた。



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破壊魔法でエンチャントされたクレイモアを振り回し、突っかかってくるBlackheart。
Oreynは果敢に攻め立てる。



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奴の手持ちの武器は強力だったものの、防御は大した事無く、私の弓と魔法での支援を加えてのOreynの猛攻の前ではAzani Blackheartを仕留めるのは時間の問題だった。

「Azani Blackheartは死んだ、仲間の仇は討ったんだ。 お前も良い腕前だった。
奴の指輪を回収してくれ。 Blackwood CompanyがAzaniを倒していなかった事の証拠としてそれが欲しいんだ。」

ここでふと改めて思い出したが、OreynはDummer(DarkElf)。
元来の彼にもDarkElfの「目には目を」な種族のしきたりが身についているのだろう。

Azaniの指から指輪を抜き取り、Oreynに渡した。

「よし、これをBlackwood Companyじゃなく、俺たちが奴を仕留めた事を証明する為に使うんだ。
じゃあここから出るぞ。 Chorrolへ戻るとしよう。
何かあったらまた知らせるからな。」



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・・・改めて思うが、Oreynの装備は『鉄の鎧』だ。 私も帝都の監獄から抜け出してすぐの頃に使ってた様な、なまくら鎧。
最近では盗賊でもエルフ製とかの武器防具を使ってる様なこのご時世に、敢えてそれを好んで使うのには、彼なりの理由があるんじゃないか・・・『戦闘は武器防具の性能じゃなく、腕とハートで決まるんだ』というポリシーを抱いてそうな気がしないでもない。

あいにく今までに彼からそんな話を聞いた事はないが、そう考えるとちょっと鬼軍曹も可愛らしいところがあるな、と一人吹いた。

それを傍らで見ていたOreynは怪訝そうな顔をしていたが、何でもない、とはぐらかしておいた。



・・・ってOreyn、その先は、



wg010-10.jpg

彼は出口すぐの振り子ギロチンにぶつかって昏倒していた。
・・・戦士たるもの、勇猛なだけではダメだと思うんだけど・・・。



Azaniの指輪は戦士ギルドにとって起死回生の決定打となり得るだろうか。
ギルドマスターのVilenaがあれで戦士ギルドの再起の為の決意を奮い起こせるに至るだろうか。

・・・案じていても始まらない、やらねば我々戦士ギルドの明日は訪れないのだろうから。



Azani Blackheart -終わり-

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