Caught in the Hunt


戦士ギルドの仕事でBravil滞在中、街中で「夫が行方不明になって途方に暮れている女性」の噂を耳にした。

本人に会って事情を確かめる事にした。
・・・てもう好奇心もここまで来ればおせっかいといった方が正しいかも知れない、と我ながら思う。



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「あなたに迷惑をお掛けしてしまって済みませんが手掛かりが欲しいのです。
どうしたらいいのか・・・夫のAleronが行方不明なんです。」

このご婦人の名はUrsanne Loche。

その行方不明の旦那さんの事について尋ねてみた。




「全ての始まりはAleronが賭け事にはまってしまった事です。
彼は毎週の様にアリーナへ行き、苦労して稼いだお金を使ってしまったのです。」

ああ・・・どこかで聞いた様な話。

「止めるよう言ったのですが彼は聞きませんでした。
大金を儲けてどこかもっと良いところ・・・帝都のような場所に引っ越せると彼は信じていたんです。

Aleronが負け始めるまでそう長くは掛かりませんでした。
彼は高利貸しから借金をし、そしてそのお金をまたギャンブルにつぎ込んだのです。

ご存知でしょうが、そんなのは上手くいくはずもありませんでした。
結局金貨500枚程の借金を背負う事になってしまって。
私達にはその様な大金を持っているはずもありませんでした。」

ふむむ・・・で、旦那さんはどうなったのだろう?

「昨日、Kurdan gro-Dragolという高利貸しが夫をLonely Suitor Lodgeに呼び出したのです。
夫はそれから戻ってこないのです。 夫の命が心配です。 Kurdanは我慢強くありません。
お願いです、私は裕福ではありませんが、Aleronが戻ってくる為になら何か差し上げます。」

これはなにやら事件に巻き込まれた雰囲気。
Lonely Suitor Lodgeと言えば、先日Maglirが仲間らとたむろしてた宿屋か。

私は『力になりましょう』と答えた。

「本当に!? ああ・・・ありがとう!
どうかお気をつけて。 あなたにも危害が及んで欲しくはないのです。」



一つうなづいて、私はKurdan gro-Dragolを訪ねるために再度Lonely Suitor Lodgeに向かった。



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「ああん? 何の様だ?」

Lonely Suitor Lodgeの2階にKurdanはいた。
ぴかぴかのエルフ装備に身を固めた、如何にも成金戦士といった風貌のオークだった。

Aleron Loche・・・行方不明のUrsanneの夫の話を聞いてみたところ、

「てめぇにゃ関係ねぇだろ。 お前の事が気に入りでもすりゃ教えてやってもいいが・・・まあありえんがな。」

あいにくこの手合いの扱いにはずいぶん慣れた。
多少のお金を見せれば掌を返したように態度を変えるのだから。

「あいつの事は・・・知ってるかも知れんし知らんかも知れんなぁ。
おめぇが興味あるってんなら記憶って奴をひねり出してやってもいいが。」

ああ? 昨日の事だろ? はっきりと「話す気がない」ってんなら即刻メイスを鳩尾辺りに食らわしてやるところなんだけど。

「うちの家宝にAxe of Dragolってのがあってな、うちのマヌケな身内がなくしちまったんだが、どうやらNiben BayのGrief砦の島にあるらしいんだ。

その情報を教えてくれた奴が言ってたんだが、それはその砦の中心に隠されてるそうだ。
守っている奴がいるかどうかは分からんがあんたならやれるさ。

そこへ行って斧を取って来てくれればAleronがいる場所を教えてやるよ。」

ほう、生意気にも交換条件って事?
それを持ってこないとどうなる訳?

「Aleronは帰ってこねぇだろうな・・・あー旅から。 とても長い間のな・・・永遠とでもいうか。」

絵に描いたような脅し。 いいだろう、受けてやろう。
それはどんな斧?

「柄のとこに『Dragol』と掘られてるバトル・アックスだ。 かなり大振りで、見失う事はねぇよ。
だがおめぇの為に絵を描いてやるつもりはないが。」



KurdanはBravilの街中、魔法屋の隣の桟橋に停めてある一艘のボートを使えといった。
話の流れ上、事を急がないとAleronの命が危ぶまれる。

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Kurdanの言ったボートに乗り込み、早速Grief砦の島へ向かった。



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ここがそのGrief砦の島。
入り口は桟橋の近くにあったスイッチを動かさないと門が開かない仕掛けになっていた。
そのスイッチを動かし、門を開けて入って見れば・・・入ってすぐの壁には血糊と思われる真っ赤なバッテン印が描かれ、地面にはところどころに人骨が転がっていた。
Dragolの斧を守っている奴がいる様だ・・・しかもずいぶんとサディスティック気味っぽい。

とか何とか思いを巡らせていた時、何かの気配が・・・人か? さては早速斧の番人か。
息を潜めて中を伺うと、意外な人物がそこにいた。



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「また一人、不運な人がKurdanの『斧』の話に騙されたようだね。」

そこにいたのは行方不明だったはずのUrsanneの夫、Aleronだった。
で、何の話? 斧? 騙された?

「まだ分からんか? ここには『Axe of Dragol』なんてなかったんだ。
あんたをここまでおびき寄せるための計略でしかない。

俺も引っ掛かったくちでね。
俺の場合は、もし斧を持ち帰れば借金を帳消しにする、と言われたんだ。
俺は奴を信じた大バカ者さ。

あんたは今、Kurdanの狂った狩りの獲物さ。 俺と同じ様にな。
そして俺達は多分ここで死ぬんだろう。」

狩り?

「Kurdanのやつは、高利貸だけで金を稼いでる訳じゃない。
Hunter's Runってので儲けてやがるんだ。

連中は奴に多額の金を払うんだ。 生きた人間を狩って殺す為にな。
そして奴が死体の処理をするんだ。

ここGriefの砦の地下牢を狩場として使っている。
俺はここにおいて行かれたんだ、奴には誰かが俺を探しに来るのが分かっていたからな。

こんな事に巻き込んじまって全くすまない。
あんたが戦える奴ならいいんだが・・・それが俺たちが生きてここを脱出する為の唯一の方法だからな。」

ここへ来たボートがあるんだけど?

「ここへの入り口の扉は鍵が掛かっている。
ここを出るためのたった一つの方法は、Hunter's Runへ降りて行き狩人を殺す事だけだ。
奴等の一人が扉の鍵を持っているだろう。

それがKurdanの決めたルールだ。 そして俺たちが勝つための唯一の方法だ。

もっと手を貸してやりたいんだが・・・俺は戦えん。 これまで武器を持った事なんてないんだ。
頼む! 俺を連れて帰ってくれ!」

・・・分かった。 人間狩りの狩人と倒して鍵を奪えばここを出れるって事ね?
私はAleronを残し、単身砦の中へと入っていった。



砦に入ってすぐ左手に、鍵の掛かった格子戸があった。
中にはスイッチらしき物が見える・・・これが外へ出るためのスイッチか。


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少し奥へ進むと、金持ちのボンボン風の男が現れた。
Kurdanのいでたちとよく似た、エルフ装備一式で身を固めた男が、有無を言わさずいきなり剣で斬り付けてきた。

ええい、うっとうしい。 専門外の棍棒の練習台にしてやる!
ついでにホネ君も呼び出してやればボンボンは右往左往したままあっけなく絶命した。



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更に奥へ進むと、これまたボンボン。 ボンボン2号・・・いや、ボンボンというにはちょっとオッサンか。

はい、お前もホネ君と私のメイスの肥やし。 次、次。



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最後はエボニー装備に身を固めたオークだった。
忍び足でここまで来たので奴はまだ気付いていない。

矢を撃ち込んで戦闘開始!・・・のつもりが、そのオーク、あまりに慌ててたからかいきなり目の前の水路に落ち込んでしまってこれまた右往左往しっぱなし。

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こちら側まで上がってくる様子もないので、目いっぱい矢をくれてやった上に最後は自分から水の中へ飛び込んで、これまた我がメイスの餌にしてくれてやった。



狩人らの持ってた鍵を取り、Aleronの待つ地上へ向かう。
しかし、私の眼前には信じられない様な光景が待っていたのだった。



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Aleron!?

砦の入り口を出た瞬間見えたのは、二人の男・・・一方的に斬りつけられてその一人が地に伏した場面だった。
倒れ込んだのはAleronの様だった・・・もう一人は・・・!?



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こちらを振り返り、悠然としているのは高利貸しのKurdanだった。

貴様! ・・・なぜAleronを!?

「俺の客を皆殺しとは感動したぜ。 大した事でもねぇがな。
まだまだ血を見たくてたまらねえ奴らが俺の財布を肥やしてくれるだろうよ。

Aleronの事は残念だったな。 こいつがここにいる必要もなくなった訳だ。
少なくとも、もう借金からは開放されたぜ、がははははは!」

・・・貴様、最初から生かして返す気なんてなかったんだな!?

「そうだとも、お前の見つけた鍵は偽者だ。 今までこの島を生きて出た奴はいない。
そして俺の目的はそれを維持する事だ。
まあそういう意味じゃお前のやり方も正しかったんだがな。」

一息溜めた後、奴はこう言った。

「こいつぁ俺のゲームだ。 ルールを変更する!」

そして剣を抜いた。
結局そうなるか。 売られた喧嘩は買わない手はない。



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しかしこのKurdanの使うのは火属性の追加効果がエンチャントされた両手持ち剣で、かなり強い。
くっそー、金に物を言わせた成金エセ戦士め!

しかも上階にはもう一人弓使いが潜んでて、どんどん矢を射てくる。


私はまずは数減らしにと上階へ駆け上がり、剣と魔法で弓使いを急いで片付けた。
後はKurdanの奴に向かって、今自分の使える最大の攻撃魔法をぶち込み続け、後は剣で切りまくるのみ!



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そしてとうとう奴は絶命した。
今まで戦った悪党・・・人間相手の中でもかなり手強い奴だった。

Aleronの仇は獲ったが、そんな事をしてもAleronが帰ってくる訳でもない・・・奥さんのUrsanneに悲しい結末を報告せねば。

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私はこの忌まわしい砦を後にした。

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穏やかな朝だった・・・朝焼けの空の向こうにかすかに帝都が見える。




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「何かあったのですね・・・教えてください、Aleronの身に何が?」

Ursanneは、あった瞬間私の表情から何かを読み取ったのかもしれない。

「ごめんなさい・・・彼は亡くなりました。」

「あなたが深刻そうな顔をしてたので、彼に何かが起こったんだと感じました。
で、あの憎きKurdanはどうしたのですか?」

「彼ももう生きてはいません。」

「あ・・・Aleronの仇を取って下さったの? 

バカな人ね。 賭博のせいでこんな事になったと言っておいたのに。
けど耳を貸そうとはしなかった。」

私がもう少し地上へ戻るのが早ければ・・・Aleronの命を救う事が出来たかも知れない、と考えるのが私の自惚れだろうか。

Ursanneは戸棚から何かを取り出し、私のもとへ持ってきてこう言った。

「行ってしまう前に、これをお譲りします。
Aleronは私に、もし自分が厄介ごとを抱えた時、これを監獄から出るための保釈金として使って良いと言ってたの。」

そして一冊の本を手渡された。

「彼には・・・もうこれは必要ないでしょうし、私もあなたに持っていて欲しいから・・・嫌だなんて言わないでね。
あなたは出来る限りの事をしてくれたと思いますし、その事に感謝します。
出るから今はお願い・・・静かに行ってください、一人になりたいのです。」



Ursanneの言葉通りに、私はそっと彼女の家を後にした。
空しい、何と空しい結末となってしまったのだろうか。

自分が後もう少し強ければ彼女の夫を救う事が出来ただろうか・・・。

「強くなりたい・・・。」

私一人の力で変えられる物など、本当に程度が知れているのだろう。
それでも改めて、心からそう思ったのだった。



Caught in the Hunt -終わり-

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