Order of the Virtuous Blood (前編)


ChorrolからSkingradへ向かう途中に立ち寄った帝都での出来事。
なにしろ帝都に戻ってくる事自体久しぶりだったし天気も良かったので街中をブラついていたところ、突然見知らぬ人に声を掛けられた。
「あなたに助けを求めるように使わされた者ですが。」と。



20071001-021.jpg

彼女は名をRalsa Norvaloというそうで。
依頼主は彼女の夫のGilenで、私へ助けを求める事はその彼の強い要望らしい・・・『帝都市民にとっての最重要事項について、私の強力が必要』?、てかなんで私のことを知ってるんだ?」

彼女は詳しい内容には触れず、帝都寺院地区のSeridurという人の家を訪ねる様に私に告げた・・・そこで彼が詳しく説明してくれるから、と。

とにかくそこへ行ってみる事にする。





 


20071001-022.jpg

Ralsaに教わった屋敷を訪ねてみると、



20071001-023.jpg

High Elfの男が私を出迎えた。
彼がこの屋敷の主のSeridurだ。

「あなたがこの街にいると聞いた時、助けを求めずにはいられませんでした。 あなたは評判ですから。」

・・・そんな有名人なつもりは毛頭ないんだけど。
確かに商店街の揉め事の一件の解決には助力したけどさ。



彼は私を地下へ通した。



Seridurは改めて「ようこそ。」と話し出し、早速本題を切り出した。


「ここは『Order of the Virtuous Blood(高潔なる血の騎士団)』の聖域です。
我々の仲間以外でこの神聖なる殿堂に足を踏み入れた事のある者はほとんどいません。
我々は・・・適切な表現が難しいのですが、いわゆる守護者なのです。
この都市をある疫病から守るのが仕事です。
この集団は奴らと対決する為に結成されたのです。」



ある疫病?

「我々はバンパイア(吸血鬼)ハンターなのです。」



バンパイア・ハンター・・・吸血鬼と言えば、確かに巷で噂程度には聞くけど・・・。
日光を嫌って夜間にのみ活動し、人の生き血を吸って飢えと渇きを満たすという。
そして血を吸われた者は吸血鬼病に感染し、数日の潜伏期間を経て本人も吸血鬼と化してしまうという。

だが、Seridurが言うには『Order of the Virtuous Blood』のメンバーは彼を含めて3人しかおらず、その誰もが戦うにはちと非力だ、というのだ。

そこで、最近帝都で悪質な墓荒らしを退治した噂の聞こえる私に目をつけた、と言う事か。



Seridurは続けた。

「私達の目的は、この美しい街に生き永らえているヴァンパイア共を根絶やしにする事なんですが、現在ある1匹の発見に失敗しています。
帝都の寺院地区に住むRoland Jensericはヴァンパイアであり、既に一人の犠牲者が命を奪われているのです。
そこで、次の犠牲者を生む前に奴を殺し、この街を浄化する事に協力して頂きたい。」



ここまでで話の筋は大体理解できた。
要は『Rolandという吸血鬼を殺してくれ』と言う事なのだ。
その容疑者についての情報をもう少し突っ込んで聞いてみた。

「2、3日前の夜、私は何時ものように、街中のヴァンパイアの痕跡を探していました。
Rolandの家に向かう道を歩いていた時、叫び声を聞きました。
急いで裏庭へ向かうと、Rolandと彼の交際相手の女性が争っているのを見ました。
私は仲裁しようとしたのですが、彼は余りにも強かった・・・。

彼は恋人を地面に投げ飛ばすとこちらに目を向けてきたのです。
幸いにも何とか通りに走って戻り、彼の手から逃れる事が出来ました。

しばらく身を潜めた後、もう一度その庭に戻ってみると、Rolandは姿を消し、女性は亡くなっていました。
そして彼女の首には二つのとがった刺し傷が見受けられた・・・その時私は、奴がヴァンパイヤだ、という事に気付いたのです。

我々はあなたに奴を滅ぼしてもらいたいのです。」



・・・なるほど。
で、奴の潜伏先に心当たりは?

「彼の家の調査から始めよう。 彼はその時から自宅には戻っていないので安全なはずだ。 もしまた質問があれば夜、ここに来てください。」

聞けばそのRolandの家というのは、このSeridurの屋敷のすぐ真裏にあるんだそうだ。
吸血鬼はそんなに一般人の近くに、正体を隠して住んでいたのか。

「ヴァンパイアは汚らわしい生き物だ。 奴らは本性を隠す為に他者の血を吸う。
その卑劣な手段を取る事で、奴らは発見しにくくなるのです。」



・・・ふむ、まずはRoland邸の調査からだな。
家屋への不法侵入・・・これも盗人向けではあると思うんだけど・・・。
ともかく夜を待って行動しよう。



その日の夜。
守衛の目を盗んで私はRolandの済んでいた屋敷への潜入に成功した。

20071001-024.jpg

入ってすぐのテーブルの上に、一通の手紙を見つけた。



20071001-025.jpg

何か手掛かりになるような物が見付かればと思い、さっと目を通してみたところ・・・



20071001-026.jpg

Seridurが言っていた、Rolandに殺されたという彼の恋人が彼に当てたラブレターらしい。
これを見る限り、彼女は全くRolandを疑う事無く愛していたと考えていいだろう・・・だとすればその手口は極めて残忍だ。

これは決して許す訳にはいかない・・・というような正義感がふつふつと沸いてくるじゃないか。

「あの森の中の小屋」・・・か。
聞き込みで得られた情報の一つとして、「Rolandは一人が好き」というのがあった。
潜伏先としてはかなり怪しそうだ。

翌朝を待ってその小屋へ行ってみる事にする。



 

20071001-027.jpg

帝都からCheydinhalへ向かう道から少し外れた辺りに、Rolandの小屋らしき家屋を発見した。
中には人の気配がある。

奴がヴァンパイアである以上は、いきなり襲い掛かってくると考えた方が妥当だろう。
私は意を決してドアを開けた。



20071001-028.jpg

奴は襲い掛かってくる訳でもなくそこにいた。
「帰ってくれ! あんたが何の用でここに来たのかは分かっている。 構わないでくれないか!?」

・・・用が済んだらすぐ帰るさ。
で、あんたヴァンパイヤって知ってる? と空々しく聞いてみた。
すると、驚く程意外な答えが返ってきた。

「なぜそんな汚らわしい生き物の事を?」
「Seridurは、あなたがそうだと。」
「・・・あの野郎! 俺が吸血鬼だって!? は、奴がその吸血鬼だってのにか!
信じられない・・・奴は俺をハメようとしてるんだ。 俺の手で奴を捕らえられればいいんだが・・・。」

私はいきり立つ彼をなだめ、更に詳しく話を聞く事にした。

「す、すまない・・・あまりの事に礼儀も忘れてしまった。
私は彼女を愛していた。 この手で彼女に危害を加えたりするものか!
Relfinaは私の生涯の恋人だった・・・初めて俺は前向きになれたんだ。

だが、Seridurが彼女を切望の目で眺めているのを見つけたんだ。
彼女が夜中に公園の散歩を始めた時、私か彼女を疑い始めた・・・彼女を失いたくなかった。
私は彼女を信じるべきだったんだ・・・ああ、Relfina。

私はあの夜、彼女をつける事にした・・・全てを確かめる為に。
彼女が公園で足を止めた時、奴が物陰から現れたんだ。 俺はガッカリしたよ。
それから突然、奴は彼女に覆いかぶさった!
彼女は奴の腕に抱きかかえられ、その歯が彼女の首に沈んでいく時にも、恍惚としている様だった・・・私は飛び出してSeridurを襲った。
奴は一瞬驚いてRelfinaを脇に放り投げた・・・その時頭を地面に強打した音を聞いた。

俺は奴に対抗出来なかった。 奴の素早い一振りで倒された。
遠のく意識の中、俺は奴が笑いながら去っていくのを見た・・・。
なぜ奴があの夜、俺に止めを刺さなかったのか、今ならはっきり分かる。
奴は俺に濡れ衣を着せようとしているんだ。

目が覚めると、彼女の遺体は消えていた。
俺は奴が『Order of the Virtuous Blood(高潔なる血の騎士団)』だと言うことを知っていた。
まさか奴がその吸血鬼だなんていっても、他のOrderのメンバーは信じはしないだろう。
私はここに避難して、これからの考えをまとめていたんだ。

・・・さあ、あんたはどうする?私を殺すかい?」



私は少し考えた後、今はRolandの言葉を信じ、彼の命を奪う事はやめた。
彼女の話をした時のRolandの目は信じるに値する、と感じたからだ。
もちろんそれすらも演技であるかも知れないが、それはこの事件を追い続ければいずれこの目でその真実に辿り着くだろう。
憎むべきは善良な市民の生き血をすすり、その命をわが為に奪い続ける卑劣な吸血鬼なのだ。

Rolandに、彼の知る全てを尋ねてみた。
「あんたも知ってるだろう、ヴァンパイヤは日光を浴びていられない。
賭けても良い、あんたは日中、奴と外でであった事がないだろう。」

・・・確かに。
外で会うどころか、Orderの連中はSeridurについて、ヴァンパイヤ捜索と調査の為に夜通し時間を費やし、日中はその疲れで寝てる、と言っていた。
その点については信憑性があるといえるだろう。

「俺はSeridurと、奴の『秘密のOrder』について知っている。 ヴァンパイヤとしての正体を隠し続けるのには、ヴァンパイヤを狩る集団に属しているふりをするのが最も都合が良かったって事だろう。

あんたは帝都に戻って商業地区の本屋、First EfitionのPhintiasと話してみてくれ。
奴はしばしばその本屋に出入りしている事は知っているんだ。
彼なら何か知っているかも知れない。」



その後も彼とこの件についてじっくり話し、私は夜明けを待って帝都に向かった。

Track Back

Track Back URL

コメントする

※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。

公開されません

(いくつかのHTMLタグ(a, strong, ul, ol, liなど)が使えます)


画像の中に見える文字を入力してください。

サイト内検索

blogramのブログランキング

最近のコメント

最近のピクチャ

カテゴリ

月別アーカイブ

  1. 2014年7月 [1]
  2. 2013年7月 [1]
  3. 2013年6月 [12]
  4. 2013年4月 [2]
  5. 2013年1月 [1]
  6. 2012年11月 [1]
  7. 2012年10月 [1]
  8. 2012年9月 [2]
  9. 2012年8月 [1]
  10. 2012年7月 [1]
  11. 2012年5月 [1]
  12. 2012年4月 [2]
  13. 2012年3月 [7]
  14. 2012年2月 [2]
  15. 2012年1月 [1]
  16. 2011年12月 [2]
  17. 2011年11月 [1]
  18. 2011年10月 [2]
  19. 2011年9月 [2]
  20. 2011年8月 [6]
  21. 2011年7月 [2]
  22. 2011年6月 [2]
  23. 2011年4月 [1]
  24. 2011年3月 [2]
  25. 2011年1月 [3]
  26. 2010年12月 [1]
  27. 2010年11月 [2]
  28. 2010年10月 [2]
  29. 2010年8月 [3]
  30. 2010年7月 [2]
  31. 2010年6月 [4]
  32. 2010年5月 [6]
  33. 2010年4月 [4]
  34. 2010年1月 [2]
  35. 2009年12月 [1]
  36. 2009年10月 [3]
  37. 2009年9月 [4]
  38. 2009年8月 [4]
  39. 2009年7月 [6]
  40. 2009年6月 [4]
  41. 2009年5月 [3]
  42. 2009年4月 [7]
  43. 2009年3月 [10]
  44. 2009年2月 [9]
  45. 2009年1月 [4]
  46. 2008年12月 [1]
  47. 2008年11月 [7]
  48. 2008年10月 [5]
  49. 2008年9月 [14]
  50. 2008年8月 [10]
  51. 2008年7月 [3]
  52. 2008年6月 [3]
  53. 2008年5月 [5]
  54. 2008年4月 [7]
  55. 2008年3月 [12]
  56. 2008年2月 [15]
  57. 2008年1月 [10]
  58. 2007年12月 [19]
  59. 2007年11月 [23]
  60. 2007年10月 [26]
  61. 2007年9月 [19]
  62. 2007年8月 [18]
  63. 2007年7月 [41]
  64. 2007年6月 [18]
  65. 2007年5月 [26]
  66. 2007年4月 [35]
  67. 2007年3月 [29]
  68. 2007年2月 [26]
  69. 2007年1月 [29]
  70. 2006年12月 [21]
  71. 2006年11月 [17]
  72. 2006年10月 [25]
  73. 2006年9月 [38]
  74. 2006年8月 [20]
  75. 2006年7月 [29]
  76. 2006年6月 [33]
  77. 2006年5月 [40]
  78. 2006年4月 [50]
  79. 2006年3月 [47]
  80. 2006年2月 [43]
  81. 2006年1月 [28]
  82. 2005年12月 [22]
  83. 2005年11月 [35]
  84. 2005年10月 [35]
  85. 2005年9月 [18]
  86. 2005年8月 [15]
  87. 2005年7月 [27]
  88. 2005年6月 [43]
  89. 2005年5月 [39]
  90. 2005年4月 [42]
  91. 2005年3月 [38]
  92. 2005年2月 [40]
  93. 2005年1月 [3]
  94. 2000年5月 [5]

このページの上部へ

Counter

プロフィール

chapa_moonの名前でほそぼそとボカロの歌を作ってはニコ動にうpしてた人。ゲームネタ、デジ物とかも好みます。 sadowsky3.jpg
title1-1.jpg
title1-2.jpg
This Site Created by Chapa_Moon
Since 2001.6.8~
Mail to Admin


ジオターゲティング
サウンドハウス
Mozilla Firefox ブラウザ無料ダウンロード
検索エンジンなら検索サイト.net
ページランク
人気ブログランキングへ
Googleボットチェッカー
MSNボットチェッカー
Yahoo!ボットチェッカー

Powered by Movable Type 5.2.10