A Shadow Over Hackdirt


Anvilの戦士ギルドでの仕事を一通りこなした私が次に示されたのは、私が戦士ギルドのメンバーとしての第一歩を飾った街、Chorrolだった。

街に入ってまっすぐここの戦士ギルドへ向かおうとしたのだが、その道すがら妙な噂を耳にしたので踵を返して、この街で『Northern Goods and Trade』という雑貨屋を営んでいるArgonian(トカゲ族)のSeed-Neeusを尋ねる事にした。

その噂とは、この街ではSeed-Neeusとその娘さんのDar-Maはかなりの親想い子想いで良く知られているのだが、数日前からそのDar-Maが行方不明になった、という物だった。

 



20070930-081.jpg

Seed-Neeusは途方に暮れた様子で

「無理は言えないけど、助けて欲しいんです。 娘が・・・Dar-Maが行方不明なんです。 一体どうしたらいいのかしら・・・。」

もう少し詳しく事情を伺ってみた。

「Dar-MaがHackdirtから全然戻って来ないんです。 あの子に何かあったんじゃないかともう心配で・・・。
助けて貰えないですか?」

この親子の事はちょっと羨ましく思っていた。
母親の心配はきっと言葉以上の物だろう。 快くSeed-Neeusの願いを引き受けると、彼女は深々と感謝を述べた上でこう言った。

「あの子はHeckdirtのEtira Moslinに配達に行ったはずです・・・多分、そこで何かあったのかと。
後、役に立つかどうか分からないのですが、あの子はBlossom…その、彼女の馬を連れていってます。
Dar-Maの可愛がり様はかなりの物で、決して捨てたりしません。」
「Hackdirtには何故?」
「Chorrolの南、かなり孤立した村なのですが、そこの道具屋と少しお付き合いがあるんです。
取引の量は少ないですけど、支払いはいいので。
いつもは私が配達するんですが、ちょっと私の体調が優れないのを知って、今回はDar-Maが行くと言って譲らなかったのです。 あの子に何も起きていなければいいのだけれど。」


Hackdirt・・・初めて聞く地名だ。
もちろん場所も良く分からないので出掛ける前に街でHackdirtの事を聞いて回ってみる事にしたところ、Honditarという名の地元のハンターからそれについて話を聞く事が出来た。

「Hackdirtか・・・30年程前に、あそこである『問題』が生じたそうだ。 とても深刻な問題が。
そこへ軍隊が派遣され、村民は皆殺された。 村全体が焼き払われた、という話もある。
だが・・・それでもなお、その問題は残ったままなのだという事だ。
今もそこに住んでいる者もいるという話だが・・・少なくとも、日が暮れてからは会いたくないね。」

んんん!? この微妙な言い回し・・・まさかその村って・・・。




20070930-082-1.jpg

Chorrolからまっすぐ南に下って山の斜面を降りてきたところには砦の跡地があり、そのすぐ南側にその村はあった。
外観を見る限りでは何の変哲もない集落だったが、一歩足を踏み入れてみてその印象はまったく別のものになった。



20070930-082-2.jpg

村の建物の半分程が焼かれた跡がある・・・Honditarの話した通りの様子だった。

 

20071001-001.jpg

村人と思しき人影はほとんどなく、しかし私の行く先をしつこくコソコソつけてくる不気味な男が一人。



20070930-083.jpg

この男、名をNatch Pinderというのだが、話を伺おうと声を掛けてみると「よそ者は出て行け。 お前はここじゃ歓迎されてないんだ。」と取り付く島もない。

Seed-Neeusの話によると、行方不明のDar-Maはここの雑貨屋のEtira Moslinという人に商品を配達に来たらしいので、まずはそこで話を聞いてみようとその店を訪ねてみた。

 


20071001-002.jpg

「よそ者が私らの事に頭を突っ込むのは歓迎しないね。」

どうやらこの村全体が私の様なよそ者を遠ざけたい雰囲気だ。
それでも何とかDar-Maに関する情報を聞き出せないかと、まずはこの村の事について訪ねてみた。

「皆、何とか暮らしを立ててるよ。 アンタの様なよそ者が騒ぎを起こさない限りはね。
とっとと出て行っちまってくれよ。」

・・・確かに私がここに歓迎されてない事は良く分かった。 めげずに本題を切り出してみる。

「Dar-Maという娘さんがここへ来なかった?」
「Dar-Maなんて知らないね。
アンタがChorrolの忌々しい詐欺師のArgonianについて話してるんなら、こっちが知りたいくらいだよ。
商品の配送はまだ来てないよ。 どうやって商品なしに商売しろって言うんだい?
その女に会ったら次の配送分は半分負けろって言っとくれよ!」

何!?
Dar-Ma、来てないのか!?

これ以上聞けそうな話もないので已む無く店の外へ出たのだが、ふと何かの気配を感じたので、店の裏に回ってみた。

すると、



20071001-003.jpg

1頭の馬がつながれていた。
Blossom・・・Dar-Maの可愛がっている馬だ。

・・・間違いなくDar-Maはここへ来た。 そして今もここのどこかにいるに違いないのだ。
臭うな。 私は改めて雑貨屋へ向かった。



「あれはあたしの馬だよ、ずっと前からね。
何か買うんじゃないならとっとと出て行きな!」

と詳しい話を聞くどころじゃなく追い出されてしまった。
・・・Dar-Maはここで何かのトラブルに巻き込まれたに違いない事はもう容易に察知出来た。
しかしまだ情報が足りない。
もう立ち寄れそうな店と言えば宿屋くらいのものだったので、そちらの主人にも話を伺ってみた。



20070930-084.jpg

宿屋の主人、Vlanhonder Moslinはこう言った。

「この村はわしの爺さんが興したんじゃ。 確かにこの村は一度没したんじゃが、また以前の様な活気を取り戻す計画があるんじゃ・・・今に見ておれ。」

何だか恨み節掛かった言い回しだ。 Dar-Maについては、この辺りでDar-Maに限らず若い女は見掛けない、と話した。
そしてこうも言った。

「わしがお前さんの探してる娘を見たとして、その娘が雲隠れした事について何を知ってるというんだ?
何も見てないし何も知らないよ。」

どうも言い回しに棘があるなぁ・・・恐らくDar-Maについて何かを知っていて、その上で何かを隠してるに違いないのだ。
雑貨屋の女主人といい、この宿屋の主人といい、この村の人間は一様に怪し過ぎる。
どうにも村ぐるみで良からぬ事を企んでるのでは・・・という疑念が晴れない。



Hackdirt中を方々巡ってみたが他にはほとんど人影も見えず、本当に寂れた村である事しか分からなかった。

村の外れに一軒のあばら家を見つけた時、そばにもう一人の男がいた。



20070930-085.jpg

男の名はJiv Hiriel。

「この村の者は、よそ者が何か尋ねたところで決して好意を向ける事などしないよ。 すぐ立ち去った方が良い。」

む、先の村人達と違って物言いに棘が感じられない。
私はDar-Maの事について彼にも尋ねてみた。 すると彼は慌てて辺りを伺いつつ、

「シーッ! ここじゃ話せないよ。 彼らに怪しまれる。 あの娘は危険に晒されているんだ。」

!!
この男も何かを知っている!

「日が暮れてから俺のうちに来なよ、ドアの鍵は開けとくから。」

ここへ来て協力者を見つける事が出来た。
日暮れまでもう少し自力で調べられそうな事は調べてみるとしよう。 そして彼の家を訪ねてみよう。



その後の自力での調査で得られた物は、残念ながら何もなかった。



20070930-086.jpg

日もすっかり暮れた頃、私はJivとの約束通り、彼の家を訪ねた。
彼は慌てた様子で扉を閉めるや否や、口早に話し始めた。

「よく来たな。 ちょっと時間がないんだ、疑われる前に会合に行かなきゃいけないから。」

改めてDar-Maの事について尋ねてみた。

「信じて欲しいんだが、俺は彼らがどういう計画を練ってるのかは良く知らないんだ。
彼らは『深き者たち』を呼び戻そうとしてるんだ。 俺もそれに賛同していたんだけど・・・でも、あの娘を犠牲にすることは出来ない。」

!!!
『深き者たち』って何だ!? 犠牲って!?

「彼らはあの娘を洞窟に閉じ込めて、生贄として捧げるつもりだ。
どうかあの娘を救ってやってくれ!!
この鍵を持って行きなよ。 洞窟へ続く跳ね上げ戸の鍵だ。
この村の家にはどれも一つはあるんだ。
洞窟へ入るならMoslin's Innからが良いだろう。 あの娘が閉じ込められてる場所へは一番近い。
時間も真夜中が良いだろう・・・皆会合に集まってるだろうから。」

私はJivから受け取った鍵を握り締め、無言で一つ頷いた。

「幸運を祈るよ、あの娘を救ってやってくれるね? 俺はもう行かなきゃ・・・。」



「会合」とやらに出掛けないといけない、とやきもきするJivを引き止めてこの村や『深き者たち』なる連中の話なども一通り聞いてみた。
彼の答えはこうだった。



Jivがまだ幼い頃、この村に軍隊がやって来た。
それぞれが身を隠し、彼らに復習を誓った・・・だがあの『深き者たち』は決して戻ってくる事はなかった。

Etira・・・雑貨屋の女主人が『深き者たち』が書いた古い本を見つけ、そこに書かれたルーン文字を解読するために彼女は努力を重ねた・・・もう一度『深き者たち』とコンタクトを取る為に。
だが彼女曰く、彼らは『血』を欲していると言った。 でないと話し合いには応じない、と。

『深き者たち』については良く知らず、Jiv自身は彼らを見たことがないという。
だが彼らを最初に見つけたのは、彼の祖父らしい・・・鉱山で採掘してる時か何かだろうと。
彼らはここの村人たちを助け、裕福にもした。
しかしその代価として『血』を求めた・・・そしてもっとおぞましいものも。

ここの村の全ての家から出入り出来るという洞窟については、元々自然にあったものだが『深き者たち』と接触した村人たちが更に掘り進めて各家をつないだらしく、そこには『同胞』と呼ばれる、最も『変化』の進んだ者たちが住み着き、『深き者たち』のそばにいる。

彼らは日光を『危険な物』として嫌う、という。




・・・この話から察するに、恐らくは『深き者たち』とはCyrodiil中で密かに、だが確実に存在する闇の存在、吸血鬼なのだろう。
遥か昔、彼らがJivのお爺さんと出会った事をきっかけにこの村に入り込み、Hackdirtの村民とを豊かにする代償として、その血を求めていた。

30年前、軍がその噂を知って吸血鬼をこの村ごと焼き払った。
だが、若干の村人は生き残って自分たちを滅ぼそうとした者達への復讐を近い、その一部は既に人外の者へ変化してしまった・・・と。

そしてこの話を聞かせてくれたJiv本人も、恐らく・・・。



Jivが村人の会合へ出掛けるのと時を同じくして、私は行動に移った。



Jivの情報を信じ、宿屋へ忍び込んで跳ね上げ戸を探した。



20070930-087.jpg

店の奥の部屋の隅にそれはあった。
すばやく戸を開け、その中に滑り込んだ。



中に入ると、そこは思いの外広かった。
すぐ近くに人の気配がしたのでそちらへ向かってみると、



20070930-0881.jpg

「お願い! 助けて!!」

遂に私はDar-Maを発見した。
牢屋に閉じ込められ、すっかり怯えてしまっている。

「私が眠っている間に、ここの生き物たちが宿から私を誘拐したの。 何が目的かは知らない・・・知りたくもないわ。」



怯えるDar-Maをなだめつつ、牢屋の鍵を開けようと鍵を差し込み掛けたその時、背後から叫び声と共に何者かが襲い掛かって来た!



とっさに身をかわし、剣を構えて相手を見据えた時、私はぎょっとした。
どこかで見た様な顔・・・そうだ、昼間地上で聞き込みしてる間、私を付け回していた男、Natch Pinderとそっくりなのだ。
しかし奴の髪の色は茶色だったのだが、目の前の男は白髪だ。

話し合う余地など全くない。 目の前の男は怒り狂って棍棒を振り回してくるのみだ。



「いやあああぁっ!!」

気合一閃、この男を打ち倒し、急いで牢屋の鍵を開けた。



20070930-0882.jpg

Dar-Maには嫌な物を見せてしまって申し訳なく思ったが、こればかりはどうしようもなかった。
洞窟はかなり広く、奥に何があるのか、『深き者たち』の正体についても非常に気にはなったが、今はDar-Maの身の安全を最優先で確保するべきだろう。

私はDar-Maを引き連れて、元来た道を引き返した。



20070930-089.jpg

Dar-Maはすばやく彼女の愛馬Blossomの元へ駆け寄り、その縄を解いた。
Blossomも永らく姿を見せない主人の安否を気に掛けていたのだろう・・・その顔を愛する主へすり寄せていた。

私たちは他の村人たちに気付かれない様に慎重な足取りでHackdirtを後にした。



20070930-0891.jpg

「ありがとうございます、ありがとうございます!」

無事に帰って来た娘の姿を見つけ、Seed-Neeusはこれ以上という程の感謝の意を表してくれた。



こうして、吸血鬼に犯され、古い昔に焼き払われたはずの悲劇の村で起きようとしていた惨劇はその寸前で阻止する事が出来た。
何より仲の良いArgonianの母娘の姿を再び見る事が出来たのは何よりだった。

これからは十分気をつけてね、二人に告げて『Northern Goods and Trade』を後にした。
この件の全てが片付いた頃には日もすっかり明け、朝日がやけにまぶしかった。



20070930-0892.jpg

 

 
A Shadow Over Hackdirt -終わり-

Track Back

Track Back URL

コメントする

※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。

公開されません

(いくつかのHTMLタグ(a, strong, ul, ol, liなど)が使えます)


画像の中に見える文字を入力してください。

サイト内検索

blogramのブログランキング

最近のコメント

最近のピクチャ

カテゴリ

月別アーカイブ

  1. 2014年7月 [1]
  2. 2013年7月 [1]
  3. 2013年6月 [12]
  4. 2013年4月 [2]
  5. 2013年1月 [1]
  6. 2012年11月 [1]
  7. 2012年10月 [1]
  8. 2012年9月 [2]
  9. 2012年8月 [1]
  10. 2012年7月 [1]
  11. 2012年5月 [1]
  12. 2012年4月 [2]
  13. 2012年3月 [7]
  14. 2012年2月 [2]
  15. 2012年1月 [1]
  16. 2011年12月 [2]
  17. 2011年11月 [1]
  18. 2011年10月 [2]
  19. 2011年9月 [2]
  20. 2011年8月 [6]
  21. 2011年7月 [2]
  22. 2011年6月 [2]
  23. 2011年4月 [1]
  24. 2011年3月 [2]
  25. 2011年1月 [3]
  26. 2010年12月 [1]
  27. 2010年11月 [2]
  28. 2010年10月 [2]
  29. 2010年8月 [3]
  30. 2010年7月 [2]
  31. 2010年6月 [4]
  32. 2010年5月 [6]
  33. 2010年4月 [4]
  34. 2010年1月 [2]
  35. 2009年12月 [1]
  36. 2009年10月 [3]
  37. 2009年9月 [4]
  38. 2009年8月 [4]
  39. 2009年7月 [6]
  40. 2009年6月 [4]
  41. 2009年5月 [3]
  42. 2009年4月 [7]
  43. 2009年3月 [10]
  44. 2009年2月 [9]
  45. 2009年1月 [4]
  46. 2008年12月 [1]
  47. 2008年11月 [7]
  48. 2008年10月 [5]
  49. 2008年9月 [14]
  50. 2008年8月 [10]
  51. 2008年7月 [3]
  52. 2008年6月 [3]
  53. 2008年5月 [5]
  54. 2008年4月 [7]
  55. 2008年3月 [12]
  56. 2008年2月 [15]
  57. 2008年1月 [10]
  58. 2007年12月 [19]
  59. 2007年11月 [23]
  60. 2007年10月 [26]
  61. 2007年9月 [19]
  62. 2007年8月 [18]
  63. 2007年7月 [41]
  64. 2007年6月 [18]
  65. 2007年5月 [26]
  66. 2007年4月 [35]
  67. 2007年3月 [29]
  68. 2007年2月 [26]
  69. 2007年1月 [29]
  70. 2006年12月 [21]
  71. 2006年11月 [17]
  72. 2006年10月 [25]
  73. 2006年9月 [38]
  74. 2006年8月 [20]
  75. 2006年7月 [29]
  76. 2006年6月 [33]
  77. 2006年5月 [40]
  78. 2006年4月 [50]
  79. 2006年3月 [47]
  80. 2006年2月 [43]
  81. 2006年1月 [28]
  82. 2005年12月 [22]
  83. 2005年11月 [35]
  84. 2005年10月 [35]
  85. 2005年9月 [18]
  86. 2005年8月 [15]
  87. 2005年7月 [27]
  88. 2005年6月 [43]
  89. 2005年5月 [39]
  90. 2005年4月 [42]
  91. 2005年3月 [38]
  92. 2005年2月 [40]
  93. 2005年1月 [3]
  94. 2000年5月 [5]

このページの上部へ

Counter

プロフィール

chapa_moonの名前でほそぼそとボカロの歌を作ってはニコ動にうpしてた人。ゲームネタ、デジ物とかも好みます。 sadowsky3.jpg
title1-1.jpg
title1-2.jpg
This Site Created by Chapa_Moon
Since 2001.6.8~
Mail to Admin


ジオターゲティング
サウンドハウス
Mozilla Firefox ブラウザ無料ダウンロード
検索エンジンなら検索サイト.net
ページランク
人気ブログランキングへ
Googleボットチェッカー
MSNボットチェッカー
Yahoo!ボットチェッカー

Powered by Movable Type 5.2.10