Cheydinhalの戦士ギルド支部長Burzに聞かされ、私は馬を飛ばしてChorrolまでやってきた。
恐らく先日のAzani Blackheartの一件がらみの話に違いないと思ったが、巷で聞かれるOreynの戦略についての噂は、残念ながらあまり芳しいものではなかった。
Chorrol戦士ギルドのドアをくぐると、すぐ目の前に彼はいた。
彼の表情にはやや焦燥の色が見え、挨拶もそこそこに耳元で早口気味にこう言った。
「ちょっとやってもらいたい仕事がある。 厄介な仕事だ。
Viranus Dontonを探してもらう必要がある。」
Viranus?
「奴をForsaken Mineでの任務に派遣したんだ。 他の者達と一緒にそこのトロールの巣を片付ける事になっていたんだ。 だが長い間連絡がつかねぇ。
お前にこれを調べに行ってもらいてぇんだ。 これがどれだけデリケートな事態かはいうまでもねえだろう。
行って出来るだけ早く俺に報告してくれ。」
・・・トロールの巣の掃除程度なら、戦士ギルドの手練が数名もいれば簡単に片が付くはず。
となれば・・・何か深刻な別の問題があったと考えて間違いないだろう。
私は元来た道をまた馬で引き返し、Forsaken Mineを目指した。
その日の夜半、Foraken Mineに到着し、早速内部へ潜入した。
鉱山内に入ってすぐのところに、血まみれの遺体を発見・・・戦士ギルドのメンバーだった。
生きている者の気配はそこにはなく、いたのはその遺体をつつきに来るネズミ達だけだった。
見つかった戦士ギルドのメンバーは皆息絶えていた。
ここで何が起こったのか・・・。
更に奥へと進むと、続々と見つかる戦士ギルドのメンバーの亡骸の中に、一人一際良さげな装備の男の遺体を発見した。
紛れもなくBlackwood Companyのメンバーだった。
・・・ここで戦士ギルドとBlackwood Companyとの戦闘があったに違いなかった。
そしてことごとく打ち倒されている戦士ギルドの面々・・・実力差的にそんなにかけ離れているとは到底思えない。
恐らく、これは罠。
戦士ギルドはここでBlackwood Companyの待ち伏せにあったのだ。
とにかくViranusを探さなければいけない。
状況はあまりに深刻だった。 だが急げばまだ間に合うかも知れない。
奥へと道を急ぐあまりに慎重さに欠いてしまったか、闇の中に潜むトロールに気付く事が出来なかった。
トロールは単体ならなんと言う事はない。 彼らは火に極端に弱い事は周知の事実なので、後は多少の防御を気にしつつ、魔力を込めた火であぶればたやすく倒せる。
しかしそれでも、鉱山の奥手にはまだ多数のトロールが残っていた・・・戦士ギルドの契約による仕事は終わっていない・・・嫌な予感が更に高まった。
願わくはViranusと生き残った戦士ギルドメンバーがこの鉱山の外へ脱出してくれている事のみ。
しかし、 私が鉱山の奥で見つけたものは・・・
予感に反しない最悪の結末だった。
「死んだ? 死んだだと!?」
Oreynは帰還した私の報告に驚きを隠せなかった。
私はVenilusの亡骸から持ち帰った、彼の日記をOreynに手渡した。
彼はそれを私から奪うように手に取り、読み返した。
「・・・Blaskwood Companyだと!? ちくしょう!」
彼の驚きはやがて怒りへと変わっていったのだった。
やがて、ようやくOreynが落ち着きを取り戻した時、静かにこう言った。
「この報せをVilenaが聞いた時の事は考えたくもねぇ・・・これは俺の責任だ。 彼女には俺から話をつける。
お前はしばらく身を隠してくれ。 Azzanかgro-Khashに話をしろ。
Vilenaは俺に任せるんだ。 お前にはまだ将来があるからな。」
将来?
そう思ったとき、Oreynはもう席を立っていた。
がんばりな、と一言呟き、彼は重い足取りで上階へ上っていった。
彼はVilenaに二人目の息子さんの死の報せを告げに行ったのだ。
私は彼の言ったとおり、その行く末を見ぬまま戦士ギルドホールを後にした。
いつも曇り空の多いChorrolの空は、今日に限って澄んでいた。
Trolls of Forsaken Mine -終わり-
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