The Siren's Deception


Anvilの街では今、どこへ行っても『女ばかりの、既婚男性のみを狙うギャング』の噂で持ち切りだった。

大抵は文字通りの噂程度の話だったが、



20070930-051.jpg

ふと被害者の名前を聞く事が出来たので彼の自宅へ出向いてみた。



20070930-052.jpg

彼の名はGogan、 後ろにいるのは奥さんのMaelona。
この旦那さん、先のギャングにあった被害の件で奥さんに頭が上がらない様子、「話はMaelonaに聞いて欲しい」とだけ言い、後は黙り込んでしまった。

奥さんの方は「殺してやりたい!」とか言ってます・・・。
何とか宥めて事情を伺ってみると、

「女ギャングたちは巧みに男を誘惑し、男を誘い出すと意識を奪って持ち物を盗るんです。 それは今でも続いてます。
はっきり言うと、強盗された男共はその手口の事で、恥ずかしがって被害届けを出したがらないので、衛兵達は何の手出しも出来ない状態なんです。」

まあ単純は方法と言えばそれまでだが、そういうの引っ掛かる男が多いのもまた事実。 で、彼の旦那さんもその一人という訳だ。

で、彼が盗られてた物とは、結婚指輪だそうで。
元々奥さんのお母さんの物だったそうで、古くから先祖代々受け継いできた物なんだそうな。
金銭的価値としてはそれ程でもないそうなのだが、そういういわれがあるなら大事にしたいのだろう。
彼女は自分のなけなしの財産と引き換えに、その指輪を取り戻して欲しい、との事だった。



快く了承すると、奴らのメンバーには少なくともNordの女性一人、Imperialの女性一人がいる事と、港のFlowing Bowlという酒場が奴等の溜まり場であるとの情報を教えてくれた。
Flowing Bowlと言えば、確か先の泥棒事件でオーナーの親父が逃げ込んでた酒場か?

 


さっそく港地区、Flowing Bowlのドアを開けた。

中には数名の船乗りが酒をあおっているのみだった。
当てが外れてすぐ店を出ようとした時、そのドアから一人の背の高いNordと思しき女が入ってきて、いきなり話し掛けられた。

「あんた、Faustinaと話をしな。 彼女がアンタに仕事をくれるよ。」

Faustinaって誰? 聞き覚えのない名前だったのでよく理解出来なかったのだが、もう一人、女がNordの女に続いて後から店内へ入ってきた。



20070930-053.jpg

「アンタ戦うの得意そうね。 それにちょっとした臨時収入が欲しいでしょ?」
と腰をくねらせたImperialと見える女・・・こいつがFaustinaか。

Faustinaは続けて言った。
「私はギャングをまとめてるの。 街から離れた場所にお馬鹿な男を誘い出しては手当たり次第に引っ剥がすのよ。
標的? 私達とイイ事出来ると信じて疑いもしない男達よ。 あははは、男はとても騙されやすいわ。」

筋金入りの悪女ですな。
その悪女は1枚の地図を私に手渡しながら本題を切り出した。

「考えておいて、もしアンタが私らに加わりたかったら、今夜11時ごろに町外れのGweden farmhouseまで来て。
ああ、それともう一つ。 この事を衛兵達に一言でも話せば長生き出来ないわよ。」



・・・なるほど、そこがアジトって訳だ。
脅し文句も上等、これはもう立派なギャングって訳だ。



20071001-011.jpg

その日の夜更け。
私はFaustinaに指示された町外れの農家の屋敷へやって来た。
ドアを開けるとFaustinaが色よい返事を期待した面持ちで待ち構えていた。

「私達の申し出を受けてくれるのね。」

私は答えた。

「嫌だと言ったら?」

途端にFaustinaは顔を歪ませた。
「私達の誘いを断る奴なんて今までいなかった。 あんたは殺しておかなきゃならない様ね。
どうして断るの? すごく簡単に儲かるのよ。 それとも他に何しにここへ来たのかしら?」

「・・・Goganの指輪を取り返しに。」

私がそういうと

「畜生! あんた衛兵の手先ね!奴らが誰かを一人で送り込んでくるほど愚かだったとは知らなかったけど。
あの野郎の指輪を売り払おうとしてそれが偽者だと分かった時に気付くべきだったわ、くだらない!
全部衛兵達の計画だったのか!
皆、こいつは私達には協力したくないってさ!!」


・・・何? 衛兵達の計画?
今の彼女の言葉にちょっと解せないところがあったが、今はそうも言っていられない。
Faustinaが叫ぶや否や酒場で出会ったNordの女と、もう一人Argonianの女がFaustinaとともに襲い掛かって来た。



20071001-012.jpg

くっ、また3人掛りか。
Breton人の取っておきのDragon Skin(種族能力として持っている物理ダメージ緩和Spell)を張って応戦。



 


「たああああぁっ!!」



20071001-013.jpg

 


最後の一人が崩れ落ちた。

ほっと一息つこうかと思ったその刹那、急に後ろから声を掛けられて驚いた。
慌てて振り返るとそこには何と、衛兵の鎧を着込んだGoganの奥さんなはずのMaelonaの姿があった。

「私達の本来の姿を見せて驚かせてしまいましたね。質問があれば遠慮なくどうぞ。」

・・・さっきFaustinaが口走ったのはこういう事か。



Maelonaの説明してくれた話の大筋としてはこうだ。

GoganやMaelonaはAnvil市警団のメンバーで、彼らはその中でも身分を隠して働いていたと言う・・・刑事か。
で、Faustinaとその一味の裏をかこうといろいろ試みて来たが、被害者なはずの男達は誰一人として事件のあらましを話そうとしなかった・・・皆、単純な色仕掛けの罠に掛かった事がのだろう。
で、最後の手段として、奴らに素性のバレていないものを仲間として送り込むしかないという結論に至った・・・と。

・・・つまり私は市警団に担がれたって訳だ。

「あなたは仕事を完璧にやり遂げてくれた。 こんな結末になってしまったのは申し訳ないですが。
ここの後始末は私達にお任せを、あなたは気にしなくてもいい。
他に選択の余地がなかったんですから。」

街に戻っても私達の素性の話は他の誰にもしないでくれ、と言う言葉と共に約束の報酬を受け取った。
それでこの事件は終わり。



・・・人の役に立ったのには間違いないんだろうけど、何か釈然としないな。



The Siren's Deception -終わり-