Knight of the White Stallion


これはMazoga the Orcの続編。


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「君と君の友人に申し出よう・・・遍歴騎士の称号を得たいとは思わないかね?」

Mazogaの仇討ちに感銘を受けたLeyawiinの領主、Count Marius Caroから思わぬ提案を受けた。
遍歴騎士・・・騎士かぁ・・・悪くない響きだ。
目下私の持つ肩書きの中で最もそれらしいものと言えば『戦士ギルドの下働き』だもんな・・・。



伯爵殿は続けた。

「私は『Knights of the White Stallion(白馬の騎士)』の騎士たる条件を定める。
Black Bow Banditの首領であるBlack Brugoというオークを見つけ、殺すのだ。
もし成功したなら、私は君達のLeyawiinへの貢献に報いるべく、君とMazogaの二人に『Knights-Errant of the White Stallion』の称号を授けたいと思う。」

うー私はともかく、Mazogaはきっと喜ぶだろう・・・何しろ名実共に騎士となれるのだから。
で、Black Brugoって?

「無法者のBlack Brugoは我が領地を荒らし回っているのだ。
奴とその一味はいつも黒い弓を持っているのでBlack Bow Banditと呼ばれている。
奴を探し出し、これまでの罪をその命で償わせるのだ。
さすれば私は君と君の友Mazogaを『Knights of the White Stallion』の遍歴岸として叙任したいと思う。」

・・・なるほど。
Black Brugoを倒せばいいのね。 で、奴は一帯どこに?

「君の友人のMazogaには後ろめたい過去があるようだな。 彼女なら無法者達に顔が利くかも知れん。
尋ねてみるがいい。」

え!? Mazogaが知ってる!?
Mazogaには伯爵からの提案を知らせる必要があるし、ついでに聞いてみようか知らん。



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「Brugoなら知っている。 
かなり昔、私が『Sir Mazoga』になる前に、Brugoと取り分を二人で分け合っていた。」

Mazogaから衝撃の告白。
古い仲間だったらしい。

私は伯爵からの提案と、そのための条件をMazogaに話した。

「Brugoはマヌケな奴さ。 あいつはTelepeと呼ばれる廃墟を隠れ家にしていた。
毎晩、深夜から明け方6時までの間、分け前を受け取りにそこへ来る。」

Mazogaは目を輝かせて続けた。

「私達は相棒だろう? そう、私達はBlack Brugoを倒して騎士となる!
お前がついて来て欲しいと頼むまでここで待っているとしよう。」

Mazogaは既にノリノリだった。
昔の仲間を討伐する事には何ら憂いはない様だ。

MazogaがBrugoのアジトと、そこにいる時間帯を知っている以上、待ち伏せすれば間違いないだろう。
私はMazogaと共にすぐにLeyawiinを後にした。



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Telepeと呼ばれるBrugoのアジトは、Leyawiinから少し北に位置していた。
私達二人は昼間にその場所へ到着した。
この位置からでも入り口が見えるのでアジトはあの中だろう。

日没を待って二人で踏み込むとしよう。




夜。

辺り一帯は濃密な闇で埋め尽くされた。
月も出ていないこんな夜なら夜襲には持って来いだ。

いつもの単独行動時なら闇の中に潜んで闇討ち、といくところだが、今回は重装一辺倒のMazogaが一緒。
隠密行動は苦手であろう事は間違いないだろう・・・だいたい性格的に無理がある。


我々は正面切ってTelepeに向かった。

すると闇の中から「誰だ!?」と叫ぶ声が聞こえた。
その声の主はいきなり我々に向かって斬り掛かって来た!




「Brugo!」

Mazogaがそう叫んだ。
何ー!? いきなり本命か!?

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乱戦気味だった。

Mazogaが囮気味に立ち回ってくれたおかげで、我々は何とかBrugoを倒す事に成功した。
ただしMazogaも結構痛手を負っていたけど。
私はBreton人固有の秘密兵器Dragon Skin(種族特有の物理攻撃ダメージ軽減魔法)で何とか凌いだ。



我々は意気揚々とLeyawiinに帰還した。
伯爵にBrugoの最後を報告しに。





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相当な井戸端会議好きと見える伯爵とそのお付の面々。
長々とくっちゃべってるのを待つのにももう辟易としていたので「申し訳ありませんが。」と話に割って入らせて頂いた。

「何かね? 君がBlack Brugoの死について話すために来たのなら嬉しいのだが。」

そう、まさにそのためにここへ戻ってきたんです。

「正義は成された。 これから君はKnights of the White Stallionの一員として名を知られるだろう!
君の地位に相応しい物を与えよう・・・White Stallion Lodgeの鍵と、Leyawiinで古くから使われていた由緒ある盾だ。」

と伯爵は、ひとつの鍵と嘶く白馬の紋様の付いた軽装盾を手渡してくれた。
これを持つ物は見た目通り、Knights of the White Stallionの一員だという証なのだろう。

加えて同じ物をMazogaに届ける事、そしてBlack Bow Banditの象徴である黒い弓一つを持ち帰る毎に100ゴールドの賞金を渡すとの約束も頂いた。



伯爵の元を後にした私は早速城のホールで待っているであろうMazogaの元へ向かった。
もちろん我々が名実共に本物の騎士となる事が出来た事を彼女に報告する為に。


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「すごい!ただの騎士じゃなく遍歴の騎士だって!?そいつは本当に特別な騎士なんだろ?
さあ言ってみろよ! 『ごきげんよう、Sir Mazoga』ってさ!」

私は敢えて大袈裟に「やあ、白馬の騎士殿!」と返してやった。
Mazogaのはしゃぎ様ったらこの上ない程だった。

「『白馬の騎士』か、良い響きだ、くそったれに最高だ!」

ひとしきりはしゃいだ後、Mazogaはいつもの真顔に戻って改めて私に言った。

「私は今や正真正銘の騎士、遍歴の騎士なのだ。
その事を誰も知らずともかまわない。

ありがとう、お前に会えてよかった。 この恩は忘れない。」と。


本当に口の聞き方はなってない奴なのだとは思うが、根は本当に良い奴なのである。
我々は一つの目的の為に、一緒に命を掛けて戦った掛替えのない仲間だ。
私にとってもそれは変わらない。



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その日一日、私は「Black Bow狩りに行くつもりだ。 何なら一緒に行かないか。」というMazogaと過ごした。

結果的にはLeyawiinの周辺を日がな一日掛けてゆっくり周回するのみだったが、私にとっても良い安息の日となった。



「遍歴」騎士の名のとおり、我々はそれぞれに今まで通りにこれからも各地を巡る旅を続ける事になるだろう。
だがお互いにどこにいても、「白馬の騎士」の同士なのだ。

Sir Mazoga・・・またいつか、かの地で会おう。



Knight of the White Stallion -終わり-