Cheydinhalから一度帝都に立ち寄り、旅支度を整えた私が向かった先はCyrodiil(Oblivionの舞台となる国)南西部、外洋に面する港町Anvil。
立派な灯台まで備えてある。
鬱蒼とした森の中に佇んでいたChorrol等とは違い、バカンスに相応しい佇まいの街並みを持った、景観の美しいところだ。
ただ今回の旅は、あくまでも戦士ギルドで請け負うべき仕事を求めての事なので、リゾートを楽しむのはまた後日改めて・・・となりそうだ。
私は気を引き締めてAnvilの戦士ギルドのドアを叩いた。
案内されて通された先はその最上階、Anvil戦士ギルドの代表者であるAzzanの部屋だった。
「新米のお前にうってつけの仕事だ。」
と彼に紹介されたのはArvena Thelasという人物宅のネズミをどうにかしろ、と言う内容のものだったのだが、Azzanは「依頼者の方が上手く説明できるだろう」と詳しい内容を話してくれなかった。
そういえばCheydinhalでもChorrolでも、戦士ギルドがネズミ駆除の仕事をどうとかこうとかってな噂を耳にした様な気がする・・・もしかして戦士ギルドって「何でも屋さん」?
と一人ごちても始まらない。
とにかく依頼者に会ってみよう。
彼女が依頼者のArvena。
「ああ、戦士ギルドから来たんだね。 地下のネズミたちを何とかしなきゃいけないの。
そうよ、ネズミよ。 地下室にいるの。 何かが彼らを殺しているのよ! ・・・怖いわ。 私の不憫なベイビー達、あんた、何とかしなさいよ!!」
えええええ!?
ネズミを何とかしろって駆除しろ、じゃなくて助けろって事なの!?
どうにもこのDarkElf達の感性って馴染み難い物があるな・・・そういうものだと理解する努力は積み重ねて来たけど。
Arvena女史はいたくこの地下室のネズミたちを可愛がってる様子で、この屋敷の地下室で何が起こってるのかを調べて欲しいと言う。
早速問題の地下室へ降りてみた。
薄暗い地下室のドアを開けると同時に、突然ネズミと思われる動物の断末魔が響き渡った! 急いで飛び込んでみると、
ラ、ライオン!? ライオンがArvenaの大事にしているネズミを噛み殺してる!
一瞬頭の中が整理出来ずに目の前が真っ白になったのを感じていたが、とにかく今はネズミたちを助けなければ。
盗賊やゴブリンよりは倒すのも簡単。
どこからか地下室に入り込んできたライオンを始末するのにそう時間は掛からなかった。
ライオンを退治してから辺りをよくよく調べてみると、地下室の裏手側の壁面が一部破れている箇所を発見した。
奴はここから侵入したと見てまず間違いないだろう。
Arvena女史に、地下室にライオンが忍び込んでいたのを報告する事にした。
「1匹でもいるということはもっといるはずだわ、Pinarus Inventiusにあって頂戴。
彼はハンターでこの辺の地理にも動物の住んでる場所にも精通しているわ。」
との事。
Pinarusを探してみよう。
Arvena女史が言っていた、この町に住むハンターであるPinarus
Inventiusの自宅を訪ね、事情を話してみたところ、
「ライオン? ここに? ・・・妙だな。 ここら辺りにいるのなら、探し出せるだろうが。
一緒に来なよ、あのイカレた年寄りの気分も晴れるだろうさ。」
と二つ返事で引き受けてくれた。
早速彼の案内の元、ライオン駆除に向かう。
街から程ない地域に奴らは群れていた。 が、数はそんなに多くない。
「よし、行くぞ!」
とばかりにPinarusは剣を片手にライオンの群れの中へ飛び込んだ。
・・・ハンターというからにはてっきり茂みの中から弓矢で狙い撃ちかと思っていたが、案外泥臭い狩人さんだった。
まあ肉弾戦なら後れを取る訳にはいかない、後についてライオン達に切りつける。
「良い狩りだったぜ。 まだ奴らがこの辺りに残っているとは思えんよ。 Arvenaに『済んだ』と言ってやっても良いだろうさ。」
私は彼に感謝し、早速Arvena女史の自宅へ急いだ。
街へ戻り、その足で彼女の元へ。
そしてライオンを全て片付けた事を報告した。 すると、
「全部駆除できたと思っているのかい!? まだ終わってないわ!!
今もうちの地下室に一匹いるのよ!! 早くやっつけて!」
!?
ちょうど1頭だけが群れから離れてこちらへ来ていたのか。
急いで地下室へ向かうと、
「ガアアァァッ!!」
ドアを開けた途端こちらに飛び掛ってきた!
・・・確かにライオンだ。 速やかにこれを倒し、Arvenaに安心する様告げに戻った。
Arvenaが落ち着きを取り戻すのを待って更に事情を伺ってみると、彼女の口から個人名が出た。
「きっと隣に住むQuill-Weaveに違いないわ!
彼女は私と愛らしい小さなペットをずっと嫌っていたもの。
夜中にうちの裏で彼女がコソコソしているのを見たことがあるわ。
あんたには彼女を監視して欲しいの。」
・・・Quill-Weaveという名は、他所の街でもチラッと耳にした事がある。
何でも最近ちょっと有名になっている作家らしい。
ただ作家だろうと何だろうと、その個人の罪とは何の関係もない。
他に手掛かりもない以上、彼女に言われるまでもなく現場で張り込むしかないだろう。
早速今夜から監視を始めてみる事にしよう。
その日の夜、地下室の裏で見つけた抜け穴が見える位置で張り込んでいると、何やら人の気配を感じた。
そっと様子を伺ってみたところ、
Argonian(トカゲ人)の女性がこっそりとやって来た・・・あれは確かにQuill-Weave、街中で見掛けた事はあるのですぐにそれと分かった。
その彼女、地下室への抜け穴の前に何かを置いていったので、彼女が立ち去った後に調べてみると、それは腐った生肉だった・・・なるほど、どうやらアレをエサにライオンを誘い出したのだろう。
さて、どう攻めたもんだか。
そして単刀直入に夕べ自分が見た事を話して見せた。
最初のうちは白を切ってはいたが、ライオンがArvena女史宅の地下室に入り込んでネズミ達を食い殺していた現実をそのまま話して聞かせてみた。
「ライオンですって!? 彼女の家の地下室に!?
私はただ、あのネズミ達を外へ誘き出したかっただけなのよ。
誰も傷つける気はなかったの、ネズミ以外は・・・。
お願い、彼女には話さないで!」
あっさり落ちた。
ただ、ライオンをおびき寄せて積極的にネズミを殺そうとしていた訳ではない様だ。
彼女も十分反省しているように見える。
・・・結局私は、Quill-Weaveから二度と同じ過ちを繰り返さない事と引き換えに、Arvenaに彼女はこの剣とは無関係だったと話すことを約束した。
DarkElfの執念深さは先の一件でも十分体感する事となっていたし、真実を知ってしまえばArvenaは恐らくその仕返しを目論むだろうという予測は十分に付けられる。
本来なら全てを依頼者のArvenaに話すべきだろうが、それをしてしまうとネズミの被害よりもっと酷い事が起こり兼ねない・・・私は、今回の件に関しては、真相を自分の私の胸のうちに収めておく事にした・・・決して損得勘定からじゃないよ(汗
とはいえ、これでネズミ達が新たな危険に晒される心配もなくなった。
Arvenaもこれからは落ち着いて暮らす事が出来る様になるだろう。
さて、事件解決の報告を、戦士ギルドのAzzanに報告するとしよう。
A Rat Problem -終わり-
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