Through A Nightmare, Darkly(前編)


ところはBravilの魔術師ギルドの館内。

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私は自分のための魔法を教わる為にここを訪れたのだが、訳あって一人の魔術師の話を聞き込む事になった。

確かに、街の至るところで「行方不明の友人を探す魔術師ギルドの人」についての噂話を耳にはしていた。
この街、行方不明者が多いぞ



「はい、友人を探しているんです。 彼の名はHenantier。
もし彼を見つけられたら喜んで出来る限りのお礼をします。」

どうやらこのKud-Eiと、そのHenantierは恋仲の様だ。
帝都の魔術師大学の同級生で、在学中にそうなったそうな。

魔術師大学か・・・私も魔法については興味深い。
元々がBreton人・・・魔術に長けた血筋という事もあり、特に何を教わるでもなくある程度の魔術は今でも使える。
だけどその力の恩恵にもっと与りたいと願うなら・・・「魔法合成」と「魔力付与」、そして「魔力補充」。これらを扱える権利は魔術師ギルドが独占している。 使いたいなら大学に入学するしかないのだ。

・・・いずれその節はお世話になろうかな、とか頭の片隅で考えたり。
彼女はHenantierの話を続けていた。

「彼はいつも軽率な実験をしては自分自身を窮地に追い込んで来ました。
残念な事に、彼はまたやってしまったのです。

あなたが助けてくれるというなら、正直にお話します。
Henantierは行方不明になった訳ではありません。 それどころか居場所も分かっています。
問題はそこから抜け出す方法が私には分からない、という事です。」

居場所が分かってる? 抜け出す方法が分からない?
・・・彼はどこにいるというのだろう・・・。

「じゃあなぜ周りにはその様な嘘を?」

「Henantierは以前警告されているのです。
もう一度ギルドの規則に外れるような事をしたら即座に解雇する、と。

規則で自宅での危険な実験を行う事は禁じられています。
必ずギルドで仲間の十分の監視の目があるところでしか行ってはならない、と。

Henantierは一度も規則を守るような人ではなかったので、最近の実験は秘密裏に続けていました。
もしこの事がバレてしまったら、彼は解雇されるでしょう。」

「私は真実を知ってもギルドには漏らさない様にするわ。」と答えた。

「良かった、あなたは私からの報酬を手に入れ、私はHenantierを取り戻すという訳ね。」


驚いた事に、Kud-Eiが私を案内したのは彼の自宅だった。

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そして目の前には本人がいた・・・但しベッドの上で、ひどくうなされ続けているのだった。
見たところHighElfの様だ。 ArgonianのKud-Eiの彼氏だと聞いたのでてっきりArgonianと思い込んでいた。

Kud-Eiは言った。

「ご覧の様に、Henantierはここで夢の世界に捕らわれています。
夢の中を旅するなんて危険だと彼には言ったんですが、聞いてくれやしない。
彼はいつもマイペースなんです。

Henantierが作った、彼が『Dreamworld Amulet』と呼んだこの品を身に付ければ、人は夢の中に入り、経験する事が出来る。」

てか、人は眠れば夢を見るものでしょ?

「正しいんだけど、これは違うの。
アミュレットをつけて夢に入ったら、夢に完全に支配される。

あなたの思考と技能、特技は夢の中でも使える・・・異世界へ飛び込む様なものだと思ってちょうだい。
そこにはあなたの精神しか入る事を許されない。」

ううむ・・・分かる様な分からない様な説明。

「Henantierは、夢を訓練場にして自分を高めようとしてそのアミュレットを作ったみたい。
細かい事は知らないけど、アミュレットが導管になって訓練場へ通じるわ。

もう3日間、彼は夢の中に捕らわれ続けている。
ずっと彼を見てきたけど結局戻って来なかった。

彼をすくう最後の手は、Dreamworld Amuletを身に付けて眠りに付く事。
そうすればそこで何が起きているかを見られるかも知れない。」

・・・そこまでは何となく分かったんだけど、どうして私に?
魔術師のあなたが行く方が確実なのでは?

「彼が知っている人間では助けられない恐れがあるんです。
既に彼の記憶にある私では、自分の夢が作った偽者だと思って彼は相手にしないかも知れない。
全く知らない人間が彼の夢に入る事で、唯一のチャンスが生まれるんです。」



私は彼を救いに、彼の夢の中へ行く事を決心した。

Kud-Eiはアミュレットを私に掛けながら説明を続けた。

「細心の注意を払ってください。 Henantierは訓練場のつもりだったのでしょうが、そこには何がいるか分からない。

そこの余ったベッドを使ってください。
Henantierから離れたところで眠ってもアミュレットは機能しないと思われます。
私はここでお二人の身の安全を守りますから。

ああ、なんて事! 忘れていたわ!
Henantierが昔教えてくれたんだけど、夢の中で彼が死ぬと、彼の夢の中にいるものもまた死ぬらしいの。
だからそれには気をつけて。」

!? 夢の中のHenantierを死なせたら私も死ぬって事!?
っていうか、何にしろもうやるしかないんでしょ?

私はHenantierの隣のベッドで、Eud-Eiにアミュレットを掛けてもらい、眠りについた。




Through A Nightmare, Darkly(前編) -終わり-