Unfinished Business


帝都での吸血鬼騒動が片付いてからの事・・・私は先日、Anvilの戦士ギルドでの仕事を一通り終え、その次の仕事に、と指示された通りにChorrolの戦士ギルドを尋ねた。


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ここの長であるVilena Dontonに声を掛けてみると、仕事はあるが詳しくはModryn Oreynという人物に尋ねて欲しいという。


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Chorrolの戦士ギルドでは彼が仕事を手配する役割を担ってるようだ。

今回の任務として『MaglirというWoodElfの男が、Skingradで与えられた任務をこなさずサボっている理由を調べて来い。」というものだった。

でもMaglirがどんな仕事を与えられているのかは聞けず終い。
まずはSkingradでMaglirを探し、本人から直接聞き出すより他になさそうだ。

 



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Skingrad・・・規模としてはかなり大きい街だ。 はっきり言って私の知る限り、帝都の次に都会だと思う。
街道を挟むように街が存在し、その周囲を城壁で囲っている頑健な造りの城塞都市。

特産品はここら一帯で取れるブドウから作られるワインだそうだ。
ここら一帯にはゴブリンの棲みつく洞窟や廃炭鉱の類が数多くあり、ゴブリン狩りでも有名な地域だそうだ・・・一仕事終えたら腕試しにゴブリン狩りにも出掛けてみようかな。




一通り初めて訪れる街を散策した後、街の人に尋ねてみるとすぐにMalirの居場所は分かった。
宿屋で日がな一日ブラブラしている事が多いんだそうだ。




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「何だい? 俺を探しに送られてきたのか?」



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この男がMaglir・・・重装フル装備なWoodElfなんて割と珍しい。
WoodElfというのは本来身軽さを武器に盗賊家業を営んでる輩が多いのだが、彼はどう見てもパワープレイ好みと見える。

まあ彼の風貌についてはどうでもいい。
私は単刀直入に本題を切り出した。

「職務怠慢だって? そうだろうな。 だが貰った仕事に見合うだけの金はもらってねぇし。
俺はBrenus Astisの日記を探して来いと言われてんだ。」

Brenus Astisの日記?

「そうだ。 Fallen Rock Caveにあるって話だが行った事あるか?
俺はあんなはした金じゃ行こうとは思わなかったがな。
それだけ気になるんだったらお前が行けよ。 契約はお前さんのもんだ。
ギルドが出す金額からすりゃ割が合わないしな。 俺には養わなきゃならない家族がいるんだ。」



・・・奴の言い分に対してはこちらも言ってやりたい事はいろいろあるが、ここで奴に説教したところで何が好転する訳でもない。
ただ、この件の依頼者には『戦士ギルドは請け負った仕事を放ったらかしにする』等と噂を広めたりされてしまう可能性も十分有り得る。
そうなったらそこに属する皆が・・・もちろん私自身だって例に漏れず不利益が生じる訳で。

ここは一つ奴をどうこうするのは捨て置いて、奴がこなすべきだった放ったらかしにされたままの仕事をさっさと終わらせるべきだ。

・・・あんたとの話はこの仕事が終わった後だ、とだけ言い、私は早速目的の日記があるというCaveへ向かう事にした。



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Skingradの街からそう離れていないところにその入り口はあった。
私は注意深く奥へと歩を進めた。



洞窟全体としては極端な広さはない。 大きさとしては標準的だろう。
闇の名から襲ってくるのは死体の類だった。

他を一通り回り終え、最深部と思しき方向へ進んでいくと・・・



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地底湖!?

幸い完全に水没してはいないようだ。
深さも膝から腰くらいのものだった・・・どこかから雨水が染みこんで来てるのか、それとも地下水が湧いてきたのか・・・。



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地底湖の奥で目的のブツを発見。
水没一歩手前だった。 後少しでも水かさが増していれば日記は台無しになっていただろう・・・あぶないあぶない。

私は日記を回収し、洞窟を後にした。



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あの洞窟を出てから、私はMaglirに日記を見つけた事を話すべきか話さざるべきかを少し迷っったのだが、結局私は彼には会いに行かず、直接Oreynに報告に向かう事にした。



・・・戦士ギルドに限らず、ギルドというのはいわゆる『会社』ではない。
一定の給料を貰って毎日同じ様な仕事を繰り返すのではないのだ。

所属する一人一人がフリーランスな訳で、戦士ギルドの所属者というのは大抵自分の戦場と一攫千金を求めて冒険を続けたいと願う者の集まりだ。

つまり一つの仕事を請けるも請けないも自由。
だが一度引き受けた物は責任を持ってそれをやり遂げるのは当たり前の事なはずだ。

仕事に見合うだけの報酬がないのなら最初からその仕事を請けなければいい。
それに養うべき家族がいるなら多少金が安かろうと何だろうと数をこなしてでもしっかり稼げ、と。
だいたい、何かの仕事に手を付ける前から金が安いだのどうのと言い出す輩に限って仕事の出来ない奴が多いってのは私の持論だ。
付け加えて言うなら、言いたい事があるのならするべき事をしてからだってのも。

・・・とにかく、戦士ギルドの評判を落とす様な事をされてはこちらにとってもいい迷惑なので、奴がクビになろうがそれは奴自身のした事への報いだろう。
元より奴をかばうつもりもない。



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Oreynは食事の途中だったが、私はかまわず話し掛けた。

「で、どうだった? Maglirの相手をしてやったんだろ? 何で奴が任務をサボったかを話すんだ。」

彼は開口一番そう問うてきた。
私は無言で日記を見せた。

「日記を手に入れたのか、良いぞ。 で、Skingradで何があったんだ?」



やはりはっきり言って、Maglirの奴を積極的にかばう気にはならない。
奴がするべき仕事は私がやり遂げた。
戦士ギルドとしての客への対面はこれで保たれる事にはなるだろう。
私はMaglirの件には全く触れず、「任務完了です。 ここに依頼品の日記があります。」とだけ言った。

Oreynは、

「お前がやったのか? すぐにMaglirには話をつけてやる。
他人をかばうような青臭い奴などは必要ねえんだがな。
まあそれでも仕事は終わった訳だ。」

と報酬をよこしながらそういった。


・・・思いがけず、Maglirについては何も語らなかった事を返って彼を「かばった」と取られてしまった・・・予想外ではあったけど、まあ良いか。



Unfinished Business -終わり-